つげ義春の1987年作品。
心身の不調もあって、この後もう一作発表して
以降休筆となりますので
キャリア最後期にあたりますね。
作者の幼少時の体験がベースになっているようですが
印象に残るカットが多数。
虚無、絶望のみということはなく
仄かな郷愁の想い~慈しみの気持ちが伝わってきます。
1970年代前半に少女誌などで活動していた
末永史(すえながあや)
当時の空気感満載のタッチが味わえます。
映画でいうと ”同棲時代” とか ”赤ちょうちん” の世界でしょうか。
ブランクの後、80年代中頃に
COMICばく誌に再び連載を開始しますが
絵柄とかはすっかり変わっています。
(やまだ紫に近いかな)
70年代と80年代って、こんなに違う時代だったんだな
ということがよく分かりますね。
*惜しくも数年前に亡くなられたとのこと。ご冥福をお祈りします。
女と子供だけが暮らす水上部落へ
流れ着いた男の物語。
いつもながらのイマジネーション爆発、
ここで消えていくのは男で
女はそれを哀しい気持ちで見送るのですが、
時を超えた宿命によって、男の前から姿を消すことになる
女の短い生を記録したのが
手塚治虫の ”生けにえ”
ストーリーテリングの巧みさが光る
”ザ・クレーター” のシリーズのなかでも
ひと際秀逸な一篇。
若い世代の監督さん達で
”ザ・クレーター”各話、ショートムービー化したらどうでしょう?
登場人物やストーリーは独立していますので
持ち味を活かして製作できると思うんですよね。
もとのお話が最高なのですから
あとは監督さんの腕の見せ所、
「撮りがい」があるのではないでしょうか。