バンコクマインド

タイの過去現在未来と音楽映画書籍の旅

車の座席で延々と二人芝居、見どころの多いB級サスペンス ”DETOUR”

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1945年製作のアメリカ映画

(監督/エドガー・G・ウルマ―)

低予算&早撮り&上映時間の短い(67分)

典型的なBクラスムービーなんですが

これはなかなかに印象深い佳作であります。

 

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ニューヨークに住むピアノ弾きのトム・ニール

彼女に会うためにヒッチハイクロスアンジェルスへ。

陽気で話好きの男に拾ってもらい~食事まで奢ってくれるのですが

車内で突然死(しきりに錠剤を口に放り込むシーンあり)されてしまいます。

 

状況からして、殺人罪に問われること必至。

そう思ったトムは男の身分証を抜き出し、服も着換えて

自分が死んだように見せかけます。

 

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男になりすましてドライブを続けていく途中で

ある女(アン・サヴェージ)を同乗させます。

表情が固く、会話がどこかぎこちないのですが

女は眠ってしまったようです。

 

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ところが女はむっくりと起き上がり

 

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「ねえ、あんた誰? なんで他人の車を運転してんの?」

と恐ろしい形相でトムを問い詰めます。

 

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なんと女は、突然死した男の彼女だったのです。

以後、トムは女とともにドライブを続ける羽目に。

(女は死んだ男の父親の遺産を狙っていて、トムに男の役を続けることを強要します。拒否すれば警察に電話をする、あなたが男を殺したと言ってやるわよ・・・)

 

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トムの怯えと苛立ちは頂点に達し、

遂に第二の事件が・・・

というお話。

 

なんといってもアン・サヴェージの

超サディスティックな言動が強烈で

もともと気の弱いところがあるトム・ニールの精神が

ズタズタになっていくところが一番の見どころです。

 

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また、この映画では電話(機・線)が

重要な小道具になっていて

冒頭部分で、トムがロスの彼女に遠距離電話をかける際

オペレーターのシーンが差し込まれているのですが、

 

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後のアクシデントを示唆する

意味深なショットになっています。

 

映画は二つのアクシデント後の

男の回想といった形式を取っているのですが

 

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現実と乖離しているのでは?

と思われるような場面があって、

一層謎めいた雰囲気を感じさせたりもします。

(つまり事件の真相は別にあるのではないか?男を殺したのはトム自身なのではないか?等々ですね)

 

超低予算の故、車の運転シーンはすべて合成ですし

筋立てが粗いかな

という箇所も多いのですが、

この手のフィルム・ノワールがお好きな方でしたら

一見の価値、大であります。

 

ところで邦題は、”恐怖のまわり道”

 

なんでもかんでも恐怖の~

と付けるのは芸が無さ過ぎですよね。

ホラー映画みたいじゃないですか。

 

”殺人迂回路”

 

なんてのは、どうでしょうね?

 

Detour      Trailer

www.youtube.com