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国民的漫画 ”ブラック・ジャック” ~ 人気の長持ちの秘訣は?

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手塚治虫の ”ブラック・ジャック

膨大な著作数がある手塚の作品のなかでも

特にポピュラーなシリーズですよね。

 

少年誌に連載がスタートしたのが1973年のことですから

まもなく50年~半世紀が経過することになります。

その割に古臭いイメージが少ないのではないでしょうか。

今の若い世代の人も割と抵抗なく読んでいるようですし。

 

いつまでも読者を惹きつけるこの漫画の

魅力って、いったい何処にあるのだろうかと。

(前後の時期に描かれた手塚の他の作品(他の漫画家含めて)は、時代を感じてしまうものって多いですから)

 

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まずBJ、いつも黒マントですよね。

プライベートでもジーンズとか履かない。

だから服の流行とか関係ないですもんね。

新しいも古いもない。

 

それと前髪がかなり顔を隠してます。

なので表情の変化が分かりにくいわけです。

 

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(”MW”/”アドルフに告ぐ”)

 

手塚漫画の登場人物って、基本

感情表現(顔や身体の動き)が大袈裟なんですね。

だから活き活きとしてるとも言えますが

劇画ブームが到来したりすると

子供じみてるようにも見えてしまうんですね。

「大人の読むもんじゃないよ」的に

感じちゃうことも正直あったりするわけで。

 

BJは、他の手塚漫画のキャラに比べると

クール&ニヒルな行動を取ることが多いでしょ。

顔がね、はっきり見えないという造形が

ぴったりハマっているかなと。

 

で、ピノコがですね

全面的にその部分を補完してるわけです。

もう爆発ですよね、喜怒哀楽の表現が。

ピノコなら違和感ないわけです、見た目的にも。

笑えるシーンも適度に設定できるし。

 

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「ぼくのマンガ人生」手塚治虫著・岩波新書

 

そして、BJは(モグリの)医者なわけですが

よく知られているように手塚自身が医学部出身で

博士号を持っているわけですね。

 

これは強力ですよ。

他に原作者をたてる必要も無いわけで。

各話のアイデア

専門知識を縦横無尽に駆使して、どんどん湧き出てくる。

(なかには荒唐無稽、あり得ない症例とか手術もあるんですがそれは意識的にやっていることがほとんどで、作者も「フィクションとして楽しんで欲しい」とコメントしています)

 

医療の世界というのは流行り廃りなんて、無いですからね。

病気や怪我はどんな時代にも、誰にでも起き得る事柄。

これがある種のスポーツとか職業などをテーマにすると

ものによっては、

今では人気が無いとかもはや存在していないということも

あり得ちゃいますから。

 

文章やインタビューなどを見ますと

手塚自身はブラック・ジャックについては

割と距離を置いたスタンス~心血を注いだ思い入れの強い作品は別にある~

ようにも受け取れるんですが、

例えば(昭和テイストの)喫茶店に入ってちょっと一服。

手塚漫画が結構置いてあるとしますね。

 

そういう時手に取るとしたら、

それは ”火の鳥” や” ブッダ” ではなく

BLACKJACK

のような気がします。

 

ドクター・キリコ、如月めぐみ、本間丈太郎などの

サブキャラクターの置き方も名人芸ですから。

 

キリコがメインのスピンオフとか面白そうですけどね。

倫理的に問題が多いかな・・・

 

一話だけの登場だったと思いますが、キリコの妹

白土三平タッチ)が良かったですねえ、素敵でしたよ。

BJとの相性も実は良かったんじゃないかなあ。

 

しかし二人が結婚したら、BJとキリコは義理の兄弟。

主義主張がまったく正反対、人の命に関しての。

それは無理ですね、いくらなんでも・・・

 

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