バンコクマインド

タイの過去現在未来と音楽映画書籍の旅

笑顔の無いアメリカ映画 ”救ひを求める人々”、そしてチャップリン

f:id:bkkmind:20220309130253j:plain

 

まず邦題が暗いですよね。

救ひを求める人々、ですから。

後にマレーネ・ディートリヒと組んで

人気作品を連発することになる

ジョセフ・フォン・スタンバーグ監督のデビュー作です。

(1925年)

 

f:id:bkkmind:20220309130718j:plain

 

ロサンジェルス郊外の埋め立て港で

若い男と女が出逢います。

二人とも人生に絶望しか感じていません。

 

f:id:bkkmind:20220309130923j:plain

 

そこに一人の男の子が加わります。

これからどうしようか、ただ思案にくれる男女。

 

f:id:bkkmind:20220309131206j:plain

f:id:bkkmind:20220309131227j:plain

 

さて、この一連のシーンなんですが

手前の人物の移動は少ないんですね。

ところが背景の船や掘削機の巨大ショベルが

ひっきりなしに動いてるんです。

 

f:id:bkkmind:20220309131522j:plain

 

100年近く前、勿論サイレントの時代なんですが

映像的に非常に斬新な感覚があります。

ちょっと他に例が無いんじゃないかな。

(この掘削重機は、原題の "The Saivation Hunters" に引っ掛けてありますね。港湾の泥を人生における苦難に例えているのでしょう)

 

f:id:bkkmind:20220309131742j:plain

 

中盤以降、舞台はロスの街中のアパートに移動して

そこからはややテンションが下がってしまうのが

残念ですけれど。

 

f:id:bkkmind:20220309132031j:plain

 

さて終始、手を組んでムスッとした表情の女に扮しているのが

ジョージア・へイル。

チャップリンの傑作 ”黄金狂時代” の主演女優です。

チャップリンとは、プライベートでも長い付き合いがあったようですが

映画界に居たのは数年程度で、その後は完全に引退したようですね。

 

へイルはこれまた傑作 ”街の灯” に起用される予定もあったようです。

(花売り娘に扮するヴァージニア・チェリルとチャップリンの折り合いが良くなかったので)

 

感動的なラストシーンのへイル版リハーサルテイクが残されているので

ちょっと見てみましょう。

 

City Lights    Georgia Hale Screen Test

www.youtube.com

 

おお、公開版とはまったく違う雰囲気。

へイルですと、元気な姉御ですね。

(しかしそれにしても、チャップリンの執拗な駄目出しが強烈。完璧主義者ぶりがよく伝わる貴重なショットです)

 

City Lights Ending  with Virginia Cherrill

www.youtube.com

 

うーん、へイルも素敵ですが

この作品にはやはりチェリルのほうがピッタリですかね。

 

チェリルも早く映画界から去ってしまいました。

二人とも魅力ある女優さんだったので

ちょっと勿体ないですね・・・

 

The Salvation Hunters  Opneing Scene

www.youtube.com