まず邦題が暗いですよね。
救ひを求める人々、ですから。
後にマレーネ・ディートリヒと組んで
人気作品を連発することになる
ジョセフ・フォン・スタンバーグ監督のデビュー作です。
(1925年)
ロサンジェルス郊外の埋め立て港で
若い男と女が出逢います。
二人とも人生に絶望しか感じていません。
そこに一人の男の子が加わります。
これからどうしようか、ただ思案にくれる男女。
さて、この一連のシーンなんですが
手前の人物の移動は少ないんですね。
ところが背景の船や掘削機の巨大ショベルが
ひっきりなしに動いてるんです。
100年近く前、勿論サイレントの時代なんですが
映像的に非常に斬新な感覚があります。
ちょっと他に例が無いんじゃないかな。
(この掘削重機は、原題の "The Saivation Hunters" に引っ掛けてありますね。港湾の泥を人生における苦難に例えているのでしょう)
中盤以降、舞台はロスの街中のアパートに移動して
そこからはややテンションが下がってしまうのが
残念ですけれど。
さて終始、手を組んでムスッとした表情の女に扮しているのが
ジョージア・へイル。
チャップリンの傑作 ”黄金狂時代” の主演女優です。
チャップリンとは、プライベートでも長い付き合いがあったようですが
映画界に居たのは数年程度で、その後は完全に引退したようですね。
へイルはこれまた傑作 ”街の灯” に起用される予定もあったようです。
(花売り娘に扮するヴァージニア・チェリルとチャップリンの折り合いが良くなかったので)
感動的なラストシーンのへイル版リハーサルテイクが残されているので
ちょっと見てみましょう。
City Lights Georgia Hale Screen Test
おお、公開版とはまったく違う雰囲気。
へイルですと、元気な姉御ですね。
(しかしそれにしても、チャップリンの執拗な駄目出しが強烈。完璧主義者ぶりがよく伝わる貴重なショットです)
City Lights Ending with Virginia Cherrill
うーん、へイルも素敵ですが
この作品にはやはりチェリルのほうがピッタリですかね。
チェリルも早く映画界から去ってしまいました。
二人とも魅力ある女優さんだったので
ちょっと勿体ないですね・・・
The Salvation Hunters Opneing Scene