主に1940~50年代に作られた
犯罪映画~フィルム・ノワールということですと
ハリウッド製作の諸作品がすぐに思い浮かびますが
(”深夜の告白” ”飾窓の女” ”サンセット大通り” ”現金に体を張れ”・・・)
今回は同年(1947年)に作られた英国ムービーを2つ。
アルベルト・カヴァルカンティの
”私は逃亡者~They Made Me A Fugitive”
これは男が男に嫉妬するギャングものです。
新しく入れたメンバー(トレヴァー・ハワード)を
ボス(グリフィス・ジョーンズ)が気に食わなくなるんですね。
自分で声をかけたくせに。
でハワードは濡れ衣を着せられて刑務所行き、
ボスと自分に不利な証言をした仲間に復讐するために脱獄
そんな彼を助けるのが
ボスの元彼女(サリー・グレイ)という
まあ、ありがちな設定になっています。
最後はハワードとジョーンズの一騎打ち、
葬儀屋の屋根の上での格闘となります。
(RIP~安らかな眠りを、の広告サインが効いてますね)
さて、ハワードの無実は証明されるでしょうか?
安易なハッピーエンドになっていないところが
フィルム・ノワールの面白さです。
(登場人物がかなり多く、その捌き方がちょっとキレに欠けるかな・・・)
A Jealous Scene from They Made Me A Fugitive
さてもう一篇、”邪魔者は殺せ~Odd Man Out”
これは名作です。
監督は、2年後に全映画最高峰と評される ”第三の男”を
撮るキャロル・リードですから。
主演はジェームズ・メイソン
彼を慕うキャスリーン・ライアン
工場に強盗に入ったメイソン、
銃撃を受けて負傷、仲間からもはぐれてしまいます。
(もともと体調が悪く、頻繁に立ち眩み&視界がぼやけていた彼は、これでほとんど身動きが不可能に)
以降はなんとか彼を救おうとする仲間や、偶然出くわした人々の善意に
助けられるのですが、警察の包囲網は徐々に狭まり・・・
こちらも最後は哀しい幕切れです。
メイソンは勿論名演技なのですが
なんといってもカメラワークが絶品。
光と影、大通りと袋小路の対比など
圧倒的なテクニックオンパレード。
ストーリーの分かりやすさから言えば
”第三の男”よりも観易いですしね。
(後半、ややダレるところもあるような気もしますが)
いずれも、この手の犯罪スリラー&モノクロの世界が好きな方には
お勧め間違いなしであります。
未見の方は是非に。
Odd Man Out Trailer