1929年のロシア映画 ”カメラを持った男”
(監督/ジガ・ヴェルトフ 撮影/ミカエル・カウフマン)
これはきてますね。
圧倒的な出来栄えです。
時代の先取り、といった次元の話ではなく。
100年、200年単位で超越してしまってますから。
一人のカメラマン(カウフマン自身が演じている)が
もう、どこへでも行くわけです。
モスクワだったりキエフ(キーウ)だったり、あちこちに。
危ないっちゅうの!止めなはれ・・・
気にせずひたすらカメラを回します。
で、そのカメラマンを
この映画のカメラマン(つまりそれもカウフマン)が
ひたすら追っかけるわけです。
両者の撮る映像が交互に使われるてるんですね。
それをですね、映画館に居るお客さんが
楽しそうに鑑賞しているのですよ。
そして、私たち(一般の視聴者)がその様子を
”観ている”という構造です。
この映画はですね、「ドキュメンタリー映画」って
紹介されてるんですね。
だから一般の映画扱いされていなくて
ランキングなどにも登場してこないことが多い。
いやいや、これ
ストーリー映画ですよ。
(現実に起きていることを素材にしてはいますけれど)
登場するのは職業俳優ではなくて
一般の人たちなわけですが、
明確にシナリオ(脚本)に沿ってるはずです。
きっちり、実に綿密に各シーンの繋がりが考えられていますよ。
色んな風景を撮りました、並べてみました
とかそんな話ではない。
まず全体が
朝➡昼間➡休日
と3つのパートになっていて
非常に細かいショットの積み重ねなんですけど、
無秩序ではないです。
例えば、
婚姻届けを役所に提出(色んなカップルが居てユーモラス)
↓
結婚
↓
出産~新しい命の誕生
↓
死~葬列
と、流れはスムースなんですよ。
(同じ俳優が演じているわけではないですが)
あと、「回転」というキーワードで
バイクやメリーゴーランド、工場の機械、人力による流れ作業
などのシーンが連続しているとか。
なんで、ドキュメンタリーの括りにしちゃうんだろう?
同時代のチャップリンやキートンの名作と同列にして観なくちゃ!
プラス、様々な映像テクニックがテンコ盛りです。
これもただトライしてみました、立派でしょ的なものでなく
センスがいいんですね。
感覚が非常にモダンです。
後の世代~映画に関わらず
あらゆるジャンルのアートに影響大の
重要作ですね・・・
”私は真悟” 最終章/ 楳図かずお
Man With A Movie Camera Trailer