日本の猟奇犯罪史といった実録ものには
必ず登場する高橋お伝。
相当数の映画化作品があると思いますが
こちらは1958年の中川信夫監督版
お伝に扮するのは
当時30代前半だった若杉嘉津子。
脂の乗った余裕の演技を見せてくれます。
上映時間74分の小品なのですが
凝ったアングルの撮影場面が多く、
当時、粗製濫造されていた怪奇映画とは
一線を画した仕上がりになっています。
共演陣では、若き丹波哲郎の名前が目立ちますね。
(しかしあまり活躍する場面は無いのですが)
入浴中の若杉が鏡に写るショット
病に臥せっている夫が天窓から見えています。
(この構図は後半にも登場、そこでは若杉と夫が取っ組み合いの大喧嘩)
このカットもやってますね、狙ってますね。
公開当時ですと、高橋お伝の生涯については多くの人が知っていたでしょうから
ありきたりの内容を防ぐため、
限られた予算のなかで差別化を図っているのでしょう。
中川&若杉コンビの最高傑作
”東海道四谷怪談”(1959年)
と二本立てで観るのが
お勧めであります。
高橋お伝 1850年ー1879年