ミケランジェロ・アントニオーニの1957年作品。
北イタリアの寒村に暮らすスティーブ・コクラン
七年間暮らしたアリダ・ヴァリとのあいだには娘が居るのですが
正式な結婚はしていません。
ある日、ヴァリから ”以前のようにはもう、貴方を愛せない”
と告げられます。
ショックを受けたコクランは娘を連れて、家を出ます。
かつての恋人(ベッツィ・ブレア)
その妹(ガブリエラ・パロッタ)
老父と暮らす気性の強いドリアン・グレイ
結核の身でありながら男の客を相手にしているリン・ショウ
行く先々で多くの女性と出会うのですが
その関係性は長く続きません。
故郷の村とヴァリが恋しくなった男は帰郷するのですが
産まれたばかりの赤ちゃんをかいがいしく世話する
彼女の姿を見て、絶望感に襲われます。
もうこの世界には
自分の居場所はどこにも無いのだ
男の取った行動とは・・・
男の(&女達の)心象風景そのものであろう、
寒々とした北イタリア各地でのロケーションが効果をあげています。
惜しむらくは主演のスティーブ・コクラン、
この人はどちらかというとウェスタン~西部劇やアクションものが
はまり役の人なので、ちょっとミスマッチのような気も。
あと男の娘役(Mirna Girardi)が
なかなか好演なのですが、コクランとの距離感の描写が
中途半端かなと。
(途中までは父と娘のロードムービーとしても観れるのですが、後半は消えてしまう)
年齢が若かったり、 ”真面目” に生きてきた人ですと
感情移入が今一つ出来ない映画かもしれませんね。
(なんだこの男は!いい加減な野郎だな、的な)
色々あった~ミドルやシニアの方ならば
映像に寄り添うことが出来るかも。
苦いコーヒーかアルコールを手許に置いてね。
Il grido Trailer