マーク・ジョーダンというアーティストの
”マネキン”(1978年)というアルバム。
中味もいいんですが、ジャケットがGOOD
都市生活者の孤独がテーマ(そこまで大袈裟なものでもないけれども)
で、心の奥底は見せない&見ないといった
人間関係が歌われています。
”ストレンジャー”では、「人はみな仮面を被って暮らしている」
と似たようなコンセプトでしたね。
活字の世界では
小林泰三の短編で秀逸な一篇が。
(”妻への三通の告白”/「肉食屋敷」新潮文庫に収録)
片思いの彼女が親友と結婚
その寂しさを埋めるためにマネキンを部屋に置くうちに
彼女と結婚したのは実は俺だった・・・と思い込んでしまう男の物語。
男女三人とマネキン一体の
奇妙な「四角関係」がユーモラスに描かれています。
Red Desert Marc Jordan
マーク・ジョーダンという人は
かなりの文学好きのようで
ユニークな詩世界を展開していますが
一曲、歌詞を見ていきましょうか。
We were brought about
In Matryona's house
Sitting by the fire to keep the cold out
They will not bring us wood
They don't allow our rhyme
The wind blows through these walls so hard
It hurts sometimes
マトリョーナの家で
やらかしてしまった
暖炉がどんどん寒くなって
というのも薪の配給が無いもんだから
気に入られてなかったからね、俺たちは
壁の隙間から風が吹き込んできて
身体はブルブルだよ
Oh, pull on the line
Bring a horse to water
But he don't drink all the time
Oh, pull on the line
Bring a horse to water
But he don't drink all the time
外に出るしかないな
馬を川に連れていかないと
水を飲ませるんだよ
もっとも、飲むかどうかは分からんけども
Red Desert
I'm in USA
Hiding out in Brooklyn
Choking in LA
Underneath the peeling point
And through the rusty tin
You could almost see the daybreak
Though the ray of hope was thin
俺は今、アメリカに居るけども
まあそこは赤い砂漠さ
LAでは息が詰まりそうだったんで
今はブルックリンに潜んでいるところ
剝げ落ちたペンキに錆びついたブリキ缶
夜明けが来ても
希望のかけらすら見つからなかったね
Oh, pull on the line
Bring a horse to water
But he don't drink all the time
Oh, pull on the line
Bring a horse to water
But he don't drink all the time
And foolish I believe
It won't make a fool out of me
Cause I've been hanging 'round too long
Still I'm walking along
Your dirty streets
Taking them one by one
One at a time
One by one
One at a time
とんでもない大馬鹿者だろ
これまでずっと世界を彷徨ってきただけだし
いまだにこの汚い通りをうろついているんだから
まあでも、すべてを投げ出したわけでもないんだ
ひとつひとつ、手に入れていくとするか
一度に一個
ひとつ
ひとつずつ
words by Marc Jordan
冒頭に出てくる
”マトリョーナの家”とは
ソルジェニーツインの短編小説のタイトルですね。
もっとも、マネキンのような若くて美しい女
というわけではないのですが。
小説のなかのマトリョーナは・・・