日本でも高評価(キネマ旬報第3位)だった
アキ・カウリスマキ監督の1996年作品。
市電の運転手カリ・ブァーナネンと
レストランに勤めるカティ・オウティネン
長年連れ添ってきた仲の良い夫婦です。
しかし不況のあおりを受けて
どちらも職場を解雇されてしまいます。
カティはなんとか、場末の食堂で
コック兼ホール係の職に就いたのですが
給料が未払い。
遂には二人が暮らすアパートの家財までが
差し押さえに。
カリは車を売り払ってカジノへ。
一発逆転の勝負に出ます。
今夜の俺は違うぜ
なけなしの全財産を失ってしまいます。
(このシークエンスは面白いですね。というのもカティはカジノのエントランスまで一緒に行き、夫が出てくるまでじっとホールで待っています。日本のドラマだったら旦那は奥さんに黙ってこっそり出かけるでしょう。そしてカティは、一文無しになってしまった夫を責めることもしません。これまた日本だったら罵詈雑言の修羅場と化すところです。かといって乱暴な夫にひたすら耐えている妻という関係性ではなく、二人はあくまで深く愛し合っているんですね。しかしお互いの内面には無暗に立ち入らない了解があるようです)
さて話のほうはというと、
カティがかつて勤めていた店のオーナーや
同僚の協力を得て、新しいレストランをオープン。
初日のランチタイム
最初は出足が悪かったのですが
徐々にテーブルが埋まっていき
予約の電話も鳴るように。
カリとカティが微笑みを浮かべて
空を見上げるハッピーエンドです。
ヒネリも無く
どんでん返しも無く
アクションシーンも無く
出演者に目立つ外見の若い役者さんはゼロ。
蕎麦はざるに限る!
あとは何も要らん!
という方にお勧めの一本であります。
Scene from "Drifting Clouds"