バンコクマインド

タイの過去現在未来と音楽映画書籍の旅

仇討ちって、そんなにカッコいいものではありませんぜ・・・”荒木又右衛門 決闘鍵屋の辻”

 

戦前から多くの作品を撮っている

森一生監督の1952年公開版。

 

時代劇でよく題材となる敵討ち~仇討ちのなかでも

よく知られたストーリーで

何回も映画化されています。

 

冒頭、いきなり三船敏郎

いかにもの格好をして

いかにものチャンバラを披露します。

 

あれっ?

なんか変だなあ・・・

メイクが濃すぎるし

芝居が大袈裟。

 

 

これ、フェイクなんです。

ナレーションが入ってきて

「とまあ、世間ではこういうイメージなんでしょうけど実際は違うんですよ。史実に基づいて忠実に再現してみましょう。あと、決闘の場所は今こんな風景になってます」

 

 

と、現代(映画が作られた年)の映像が写るんですね。

 

面白い掴みですよね。

さすが一連の座頭市や悪名シリーズで腕を奮った

森監督らしい構成です。

 

 

主役の三船は落ち着いているんですが

一行の片山明彦、加東大介、小川虎之助は

もうビビりまくりです。

 

 

身体が震えちゃって、腰も思いきり引けていて

まともに刀を使えないんですね。

 

 

で、敵方の千秋実

もうボロボロ。

あまりの恐怖で全身硬直。

 

 

で、いつまで経っても勝負がつかないんですね。

そのあいだ三船がずっと励まし続けるというか

両者に指導を与えるんです。

「おーい、お前らしっかりしろ。気を確かに持つんだ。頑張れ~」

って。

 

通常の時代劇にあるような

ビシッときまった斬りあいがほとんど無くて

ひたすら、ひえーとかうわーと叫んでるという。

 

だから、ある意味

コメディなんですね。

登場人物は無茶苦茶真剣なわけですが。

 

 

こちらは三船の盟友でありながら

敵味方の関係になってしまう志村喬

 

さて、役者の顔ぶれがもろに

七人の侍” に被ってますよね。

 

それもそのはず、この映画

脚本は黒澤明が書いてるんですね。

黒澤が自分で撮ったら

全然違ったタッチになったでしょうねえ。

 

 

ほんのちょっとしか出番がないのですが

三船の妻役に浜田百合子。

映画界に居たのは短い間でしたけど

日本人離れしたルックスの人で

印象に残りますね。

まさにクールビューティー

 

(洋装のほうが似合いますね~)