これはもう極めてシンプルな
男と女のドラマです。
なに一つ不自由の無い暮らしの人妻(ジャンヌ・モロー)が
若い男(ジャン=ポール・ベルモンド)と出会って
心がかき乱されていく様を
ひたすらカメラが追っていくという。
モローは富豪の夫との生活が倦怠期。
酒場(カフェ)で声を交わしたベルモンドに
ぐいぐい惹かれていきます。
初めて会った際の
会話自体はごく短いものなのですが
もう別れ際の視線が意味深になっています。
監督はイギリス人のピーター・ブルック。
フランスの海辺の小さな町を舞台にして
スタイリッシュなシーンの連発です。
激しい場面(セリフの面でも視覚的にも)は
ほぼほぼ登場しないのですが
それが却って、大人の愛の行方を描くことに
成功していますね。
(二人のあいだには枯れた巨木が・・・)
モローはこの作品で
カンヌ映画祭の女優賞を受賞していますが
それも納得の
まさに独壇場~モロー劇場の
95分間であります。
A Scene From "Moderato cantabile"