蔵原惟繕監督の1964年作品。
これはきてますね。
傑作、かどうかはともかく
怪作であることは間違いないかなと。
まず音楽がマックス・ローチなんですね。
で、既存の音源でなく
この映画のためのオリジナル演奏。
(曲そのものは黛敏郎)
当時ローチの奥さんだった
アビー・リンカーンのボーカルも聴けるし、
サックス、ピアノ、ベースも
寄せ集めとかでなく
レギュラーメンバー。
"Black Sun" OST Max Roach feat. Abbey Lincoln
映像のアクセントという位置付けでなく
全編に音が被さっています。
(但し、マックス・ローチのディスコグラフィーにはカウントされていない)
主役は川地民夫、
大のジャズマニアで
飼い犬の名前がモンク(セロニアス・モンクから)
そこに殺人を犯してしまって逃亡中の
アメリカ人兵士(チコ・ローラント)が飛び込んできて・・・
というお話。
チコはまったく日本語が通じず、
川地は英語が出来ません。
ぶつかり合いながらも
川地はチコの逃亡~アメリカに帰りたい
に手を貸していくことになります。
当時渋谷に実在した
荒れ果てた教会内でのロケが
効果的に活かされています。
チャーリー・ミンガスの名作
”道化師” のジャケットが映し出された後に
(警察の目をごまかすために)
顔を白塗りにしたチコが登場。
一方、川地は黒塗りしています。
演出がキマッってますね。
チコ・ローラント(ローランドの表記もあり)は
韓国での従軍経験の後、
日本で数多くの映画、テレビ、CMでの出演作を残しています。
本作では出番が圧倒的に多く、
まさに一世一代の大熱演なのですが
残念ながらあまり演技力のある人ではないので
ちょっとそこは厳しいかな、という気はしますね。
(トランペットを吹くシーンがあるのですが、”ちゃんと”吹いてますね。演奏経験があるのでしょう)
チコ・ローラントが出てくるテレビCM
チコを助けるために
ラスト、川地は圧倒的多数の警官隊と
銃撃戦に。
(まったく弾を充填していないのに、なぜ撃ち続けれるのかというツッコミは無し)
日本映画名作100とかには
絶対出てきませんね、この手の作品は。
私はマイフェイバリット100の
ひとつですけれども・・・
Scene From "Black Sun"