バンコクマインド

タイの過去現在未来と音楽映画書籍の旅

笑顔の無いアメリカ映画 ”救ひを求める人々”、そしてチャップリン

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まず邦題が暗いですよね。

救ひを求める人々、ですから。

後にマレーネ・ディートリヒと組んで

人気作品を連発することになる

ジョセフ・フォン・スタンバーグ監督のデビュー作です。

(1925年)

 

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ロサンジェルス郊外の埋め立て港で

若い男と女が出逢います。

二人とも人生に絶望しか感じていません。

 

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そこに一人の男の子が加わります。

これからどうしようか、ただ思案にくれる男女。

 

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さて、この一連のシーンなんですが

手前の人物の移動は少ないんですね。

ところが背景の船や掘削機の巨大ショベルが

ひっきりなしに動いてるんです。

 

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100年近く前、勿論サイレントの時代なんですが

映像的に非常に斬新な感覚があります。

ちょっと他に例が無いんじゃないかな。

(この掘削重機は、原題の "The Saivation Hunters" に引っ掛けてありますね。港湾の泥を人生における苦難に例えているのでしょう)

 

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中盤以降、舞台はロスの街中のアパートに移動して

そこからはややテンションが下がってしまうのが

残念ですけれど。

 

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さて終始、手を組んでムスッとした表情の女に扮しているのが

ジョージア・へイル。

チャップリンの傑作 ”黄金狂時代” の主演女優です。

チャップリンとは、プライベートでも長い付き合いがあったようですが

映画界に居たのは数年程度で、その後は完全に引退したようですね。

 

へイルはこれまた傑作 ”街の灯” に起用される予定もあったようです。

(花売り娘に扮するヴァージニア・チェリルとチャップリンの折り合いが良くなかったので)

 

感動的なラストシーンのへイル版リハーサルテイクが残されているので

ちょっと見てみましょう。

 

City Lights    Georgia Hale Screen Test

www.youtube.com

 

おお、公開版とはまったく違う雰囲気。

へイルですと、元気な姉御ですね。

(しかしそれにしても、チャップリンの執拗な駄目出しが強烈。完璧主義者ぶりがよく伝わる貴重なショットです)

 

City Lights Ending  with Virginia Cherrill

www.youtube.com

 

うーん、へイルも素敵ですが

この作品にはやはりチェリルのほうがピッタリですかね。

 

チェリルも早く映画界から去ってしまいました。

二人とも魅力ある女優さんだったので

ちょっと勿体ないですね・・・

 

The Salvation Hunters  Opneing Scene

www.youtube.com

 

名作というよりはお気楽ドタバタコメディー、”ミラノの奇蹟”(1951年)

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ヴィットリオ・デ・シーカ監督が

名作 ”自転車泥棒” の次に撮った作品です。

カンヌでパルムドールを受賞していることもあって

こちらも涙涙の抒情的タッチかというと

そうではなく・・・

 

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キャベツ畑に捨て子が。

 

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優しいお祖母ちゃん(エンマ・グラマティカ)に

育てられて、気立ての良い子供に成長。

しかしお祖母ちゃんが亡くなり、孤児院へ預けられます。

 

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成人した彼(フランチェスコ・ゴリザーノ)は

孤児院を後にするのですが、行く当てがありません。

ひょんなことからミラノ郊外のバラック集落に

住み着くことになります。

 

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明るい性格のフランチェスコに助けられて

住民たちにも笑顔が戻ります。

 

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ある日、集落近くで石油が噴出。

土地の所有者は住人たちに立ち退きを迫ります。

 

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フランチェスコと仲間は

住み続けたい旨を伝えるのですが

その願いは一蹴されて

強制退去の事態に。

 

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絶体絶命のピンチ・・・

しかしなんと、天国から

エンマお祖母ちゃんが救いの手を差し伸べてくれるのです。

 

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ありがとうお祖母ちゃん!

僕らはもうこんな世の中に住んでいたくはないんだ。

お祖母ちゃんのところに行っていいよね。

 

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空飛ぶ箒に乗って、天国へ。

仲間たちも続きます。

 

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こんな世の中にもう用は無いもんね~

でジ・エンド。

 

社会風刺なども盛り込まれているのですが、

畏まって観る類の映画ではないですね。

 

黒澤作品(”どですかでん” ”生きる”)に

チャップリンでお馴染みのキーストン・コップスや

ハリウッドミュージカルの要素を加えたようなテイスト。

ちょっとまとまりが無いところもあるので

自転車泥棒” が好きな人はガッカリするかも・・・

 

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映像的には、前半に登場する

日光が差す場所に素早く移動~そこで足踏みしながらおしくらまんじゅう

をして、暖を取るシーンが秀逸です。

(ラストの天国へ翔け上がる場面と繋がっている)

 

主演のフランチェスコは役柄的には

(若い時の)フランキー堺が演じるようなキャラクターですが、

顔の造作は

(若い時の)三國連太郎に良く似ているかなと。

 

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ねっ?

 

Miracle In Milan   Trailer

www.youtube.com

ごちゃごちゃ VS 広々

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サンチョ、じゃなくて

あの有名な大型量販店。

タイにも複数店舗を展開しています。

 

 

いやあ、凄い品揃えだなあ

と改めて感心するんですが

あの~、キチキチですよね。

はっきり言って間隔が、陳列が狭すぎるような気が。

 

勿論ね、消費者の購入心理とか

綿密な計算を経てのことでしょうから

別に異を唱えるわけじゃないんですけど

買い易くはないですねえ、個人的には。

 

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これがね、街角の個人商店とか

昔ながらの市場とか

そういうところなら

別に違和感ないんですけどね。

 

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そういえば近所に

大型ショップがあるんですけど

 

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どかーんと空間が広いんですよ。

まあ、カート利用前提の業務用スーパーですから

比較するのも変なんですが、

身体をひねったり&かがんだりとか

うっかり商品に触れてしまって落としてしまう

なんていう心配はないですね。

 

でも店内が広すぎて、移動するのに疲れちゃうというのも

あるかな?

 

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あいだを取って

これくらいが程よい感じですかねえ。

 

うん、普通のスーパー

ということで。

お腹の具合とおんなじで、八分目あたりが落ち着きどころ。

 

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男なら皆、フラフラと吸い寄せられてしまうのです・・・”妖花アラウネ”

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悪女、魔性の女、ファム・ファタール・・・

 

単に美しいだけではなく

男を虜にして破滅に導くだけの

圧倒的な吸引力をもった女性、ですね。

 

そういう人物が主人公の映画は

相当数ありますけれど

1927年のドイツ映画、”妖花アラウネ~Alraune”

は、なかでも古典的な作品です。

(監督/ヘンリック・ガレーン)

 

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この系統の映画の場合、

出来具合は

なんといっても主演女優次第なわけですが

本作はブリギッテ・ヘルム。

あの伝説的な ”メトロポリス” でマリア役だった人。

もう掴みは完璧です。

 

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(”メトロポリス”のオフショット)

 

今回はボディスーツを着用しているわけではないのですが

身体の線が浮き上がるタイトなドレスや

ボーイッシュな装いで

出逢う男たちは全員、目が釘付けに。

よだれがダラーッ状態に突入です。

 

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ブリギッテには忌まわしい出生の秘密があり、

彼女の心を苦しめます。

 

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お前と居られるならなんでもする、

どんな目に遭ってもかまわない

どうか俺だけを愛しておくれ。

 

その願いが叶わないとなった時、

ブリギットと男の運命は如何に・・・

 

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メトロポリス”でブリギッテ・ヘルムのファンになった方は

機会がありましたら是非。

映画界に居たのは10年足らずで

その後は完全に引退しましたので

美しいイメージが定着していますね。

 

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Abwege(1928)

 

この ”妖花アラウネ” は他にも何作か

映画化されていますので、

どの女優さんが一番のファム・ファタール

観比べてみるのも面白いかもですね。

 

そういえば、かの水木しげるにも

同じタイトルの漫画があります。

 

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ビッグコミック 1968年4月号)

 

こちらはストーリー展開は別ものなのですが

いずれにしても、いつの時代でも

女性の魔性に

世の男たちはひとたまりもないのであります・・・

音楽と色彩で永遠の殿堂入り、日本人好みの ”シェルブールの雨傘”

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なんとまあ、カトリーヌ・ドヌーヴの美しいこと。

誰もが知っているミッシェル・ルグランの抒情的な主題歌

オープニングカットから夢見心地の素晴らしい撮影(ジャン・ラビエ)

 

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考えてみると変なんですね。

セリフが全て、歌になっているという。

(ミュージカルの名作ということになってますが、ミュージカルではないですね。踊りの要素はまったく無いですから)

で、全部吹き替えになっていて

別にドヌーブ自身が歌ってるわけでもない。

 

しかし引きこまれちゃうんですよね、スクリーンに。

(ストーリー自体は極めてシンプル)

 

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役柄の設定で、ドヌーブは17才ということになってるんですが

それはちょっと厳しいかな。

ドヌーブと恋人(ニーノ・カステルヌオーヴォ)の

別離の期間はそれほど長くはないのに

&ドヌーブは身籠っているのに、

他の男と結婚しちゃうかなあ・・・などと

細かいツッコミどころはあるのですが、

そんな野暮なことはどうでも宜し。

 

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映画館に「夢を観にいった」時代の傑作ですね。

 

スタジオセットとロケーションのバランスも良くて

一度観ただけで、目に焼き付くシーンが目白押しです。

 

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ドヌーブの影に隠れてしまいがちですが

ニーノと結ばれることになるエレン・ファウナーも

綺麗な人ですよ。

 

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他の出演作も少なくて、あまり話題に上がることもないですけれど

好演ですね。

 

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(ドヌーブが金持ちの男と結婚式を挙げた日のエレン。二人が直接会って会話をするシーンが無いところが、これまた粋)

 

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とにもかくにも完璧なムード作品(1964年度のカンヌグランプリ)

監督のジャック・ドゥミは早く亡くなってしまいましたが

この一作で映画史に名前を刻みました。

 

未見の方(少ないと思いますが)は

ティシューかハンカチを用意して是非。

 

Les Parapluies de Cherbourg    Trailer

www.youtube.com

 

ちょっと寂しかった屋台のワッフル

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よく利用するご近所食堂。

イートインのスペースもあるのですが

私はいつも持ち帰りにして

部屋食です。

 

惣菜とご飯を詰めてもらっていると

女将さんが

「甘い物でもどう?」

と。

 

そういえば、すぐお隣で良い香りが。

 

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ワッフルの屋台ですね。

ご家族、親戚かな?

若い娘さんが一人でやっているようです。

 

Vanilla

chocolate

charcole

 

の3種類から選べると。

一番シンプルなのがいいかなと思って

バニラをリクエスト。

一緒に袋に入れてもらって帰宅。

 

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料理のほうは

いつもの安定の味。

 

さてさて、ワッフルを頂きましょうかね。

若干の期待感もあったのですが

 

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あんら、生地だけ・・・

バニラのクリームがかかっているわけでもないし

中に入っていることもなく。

粉の味しかしないのよ。

 

甘すぎない素朴なテイストとも言えますが。

 

チョコレート味にすれば良かったのかなあ。

チャコールって、どうなってるのか。

焦げ目が付いてるのかなあ。

 

食堂、行きにくくなっちゃうなあ。

次回以降も「今日は買わないの?」

と言われそうだし。

 

うーん・・・

ずーん・・・

モータウンよりぐっとアダルト・・・70Sのフォー・トップス

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フォー・トップスといえば

テンプテーションズと並んで

60年代の全盛期モータウンサウンドを代表する

男性ボーカルグループ。

 

"BABY I NEED YOUR LOVING"

"I CAN'T HELP MYSELF"

"REACH OUT I'LL BE THERE"

などの楽曲は、よく知られていますね。

 

70年代に入るとレコード会社を移籍、

プロデューサーや作曲者などの顔ぶれがガラリと変わるのですが

モータウン在籍時と比べると

この時代のアルバムはほとんどといっていいほど

無視されています。

(というより、そもそもオリジナルの形で未だにCD化されていないのでは?)

 

中味が良くないのなら仕方がないのですが

実は佳曲満載なのですよ。

素通りはあまりに勿体ないので

何曲か聴いてみましょう!

 

I Just Can't Get You Out Of My Mind

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ミディアムテンポの良曲ですね~

60年代と比べると安定感のある

大人のサウンドです。

 

Meeting Of The Minds

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ベストアルバムではなくて、この時期のスタジオ録音のアルバム(計7枚)を

キッチリ(出来ればアウトテイクなども含めて)リイシュー

することが、この偉大なソウルグループに対しての

最低限のリスペクトだと思うんですよね。

 

Main Street People

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ムードいっぱいのナンバーで、

出逢いと別れを描いた映画の主題歌にでもしたら

ぴったりですね。

 

映画といえば、リードボーカルのリーヴァイ・スタッブスは

1986年の ”リトル・ショップ・オブ・ホラーズ” で、

宇宙植物のオードリーⅡ の吹き替えを怪演しています。

 

ホラー・ミュージカルとでもいえるお茶目な仕上がりで

楽しめますよ。

(リーヴァイの素晴らしい歌も聴くことが出来ますしね)

 

www.youtube.com