バンコクマインド

タイの過去現在未来と音楽映画書籍の旅

映画

塀の上のピクニック~岩井俊二&小津安二郎

岩井俊二監督の ”PiCNiC” (1996年) 浅野忠信、CHARA、橋爪浩一主演の 極めてスタイリッシュな68分。 塀の上、がメインなんですね。 三人は精神病棟に入院中で 塀伝いに「散歩」を楽しんでいます。 もう構図が最高です。 (それに比して、病院内の描…

登場人物は全員中高年 激渋のフィンランド映画 ”浮き雲”

日本でも高評価(キネマ旬報第3位)だった アキ・カウリスマキ監督の1996年作品。 市電の運転手カリ・ブァーナネンと レストランに勤めるカティ・オウティネン 長年連れ添ってきた仲の良い夫婦です。 しかし不況のあおりを受けて どちらも職場を解雇さ…

B級映画の片隅で~彼女の名前はレインボー・スミス

”The Incredible Melting Man” ~”溶解人間” という邦題からして 大体どんな傾向の作品か予想できますが はい、その通り BというよりC級に近い出来のガッカリ作(1977年)。 正直、監督さんの力量が足りず 役者さんも魅力無し。 特殊メイクをリック・ベ…

セリフなんか要らない~映画の神が瞳に宿った "BROKEN BLOSSOMS"

D・W・グリフィスの ”散り行く花”(1919年) 国民的どころか、 地球人映画と言っていいほどの 記念碑的作品ですが、今日はひとつのシークエンスだけを ちょっと細かく観ていきましょう。 ロンドンの下町で アンティーク(雑貨)屋の店番をしている リチ…

私を野球に連れて行かないで

”私を野球につれてって” 1949年のアメリカ製作ミュージカル映画。 ジーン・ケリー、フランク・シナトラ、エスター・ウィリアムズ ベティ・ギャレット、ジュールス・マンシン と賑やかな顔ぶれ。 架空の野球チームのお話なんですが、出来のほうは 今一つ…

イギリスのマリリン・モンローと呼ばれた女 & イギリスで最後に絞首刑になった女

どう見ても、マリリン・モンロー ではなくて ダイアン・ドースというイギリスの女優さん。 (かのビートルズのサージャント~のジャケットにも登場、右端) モンローの大人気にあやかろうとした女優さんのなかでも よく知られている人ですが、それにしてもそ…

愛称ベルさん、山田五十鈴の圧倒的演技力を観よ

先日、黒澤明監督の ”蜘蛛巣城”(1957年)を 観返していて、改めて作品の完成度に唸らせられました。 私は決して黒澤監督の大ファンというわけではなく、 代表作としてよく名が挙がる諸作についても 手放しで満点!ということは少ないのですが シェーク…

90年前のアメリカ女性の人権は・・・"THE STORY OF TEMPLE DRAKE"

1933年、スティーブン・ロバーツ監督の 社会的メッセージ性の強い作品。 原作はフォークナーの ”サンクチュアリ” ですが、 かなり改変されています。 新進気鋭&人権派の弁護士ウィリアム・ガーガン ベテランの判事ガイ・スタンディング ガイには一人娘…

ロマン・ポランスキー&カトリーヌ・ドヌーブのがっぷり四つ ”反撥~Repulsion”

ポランスキーの長編2作目(1965年) この3年後に有名な ”ローズマリーの赤ちゃん” が登場するわけですが、モチーフは共通していますね。 どちらもアパートメントの室内が主な舞台(ロンドン/ニューヨーク) 精神の限界ギリギリ状態に陥ってしまうのが…

ブリティッシュカルトの雛形、マニアが喜ぶ ”Mumsy, Nanny, Sonny and Girly”

アハハと思わず手を叩いてしまう(この手の映画が好きならば) 1969年製作のイギリス映画。 監督はフレディ・フランシス、 この人はなんとアカデミー撮影賞を2度受賞しています。 その他 ”エレファント・マン” ”デューン/砂の惑星” ”ストレイト・スト…

観応え充分、1960年代の深作欣二初期作品 ” 脅迫(おどし)”

深作欣二監督の1966年作品。 これは面白い映画ですよ。 個人的には後の任侠シリーズよりも好みですね。 東京郊外に暮らす三國連太郎と春川ますみの夫婦 子供(後のテレビの青春ドラマでお馴染みの穂積ぺぺ)にも 恵まれて、幸せな毎日なのですが、 ある…

二人の女の幽霊と暮らす男の物語~ ”叫” by KIYOSHI KUROSAWA

黒沢清監督の2006年度作品 最初見た時はですね、監督の代表作として挙げられる ”CURE”(1997年)と比べて ちょっと?だったんですね。 (両作品は似通ったテイストがあります) でも、この映画 面白いというか 奇妙な味わいがありますよ。 (ホラー…

一人の溺死体と二人の女、殺されたのは誰だ? 渋いイギリス映画 "FOUR IN THE MORNING"

アンソニー・シモンズ監督の1965年作品。 およそ知られている映画ではありませんが、 冒頭はいきなりテームズ川に打ち上げられた 女の溺死体のシーンから。 コートを着ていますね。 場面変わって、椅子に掛けられたコートのアップ。 持ち主はこの女性(…

これは拾い物!心ポカポカ、父と娘のロードムービー ”アメリカの娘”

いきなりですが、とてもいいですね。 良い仕上がりの映画です。 有名な作品ではありませんが、是非是非 ご覧くださいまし。 サンフランシスコの裕福な家庭に暮らす アニータ(アリソン・ウィットベック) 校庭で遊んでいると、一人の男がじっと彼女を見つめ…

構図が決まりまくりの前半パートが見もの~ミケランジェロ・アントニオーニの ”夜”

ジャンヌ・モロー、モニカ・ヴィッティ、マルチェロ・マストロヤンニ 主演の1961年度作品。 俗に言う「愛の不毛三部作」のパート2ですね。 もう構図がですね、 ビシッ、バシッと決まりまくり。 ひたすらスタイリッシュなんですね。 ロケーションがミラ…

北イタリアの荒涼とした大地に、男と女の愛がすれ違う・・・”さすらい”

ミケランジェロ・アントニオーニの1957年作品。 北イタリアの寒村に暮らすスティーブ・コクラン 七年間暮らしたアリダ・ヴァリとのあいだには娘が居るのですが 正式な結婚はしていません。 ある日、ヴァリから ”以前のようにはもう、貴方を愛せない” と…

重い現実をさりげないユーモアで包み込む、アキ・カウリスマキの ”希望のかなた”

ヘルシンキに暮らす初老の男ヴィクストロム(サカリ・クオスマネン) 代り映えのしない日常と酒浸りの妻との生活に嫌気が差し、 「家出」します。 もう俺は二度と帰らない~家の鍵を置いていく夫にも無関心な妻。 ヴィクストロムは有り金をカジノにつぎ込ん…

引き締まった肉体美、若きドロンは冴えていた ”さすらいの狼”(1964年)

アラン・ドロンといえば 誰もが知るフランスの大スターですが 日本では取り分け(特にマダム層に)人気が高かった 時期があったように思います。 1970年代から80年代にかけてが特に。 スーツや車のCMキャラクターとして頻繁に登場& パリに行ってドロ…

超えろ!名作オリジナル映画 ”ノスフェラトゥ” 1922 VS 1979

1922年に製作されたドイツ映画の ”吸血鬼ノスフェラトゥ” それこそ無数に作られてきているドラキュラものの中でも 高評価が定着しているクラシックホラーの定番です。 (監督/F・W・ムルナウ) ドラキュラ伯爵役にマックス・シュレック 血を吸われてし…

脚本&美術&撮影が完璧、これが映画のお手本だ~フリッツ・ラングの ”死滅の谷”

名匠フリッツ・ラングの1921年作品 (”メトロポリス”の6年前ですね) これはですねえ、 「上手い!」の一言なんですよ。 昔の映画ですよ、100年以上前の。 でも現在に至るまで、のちの映画作りに関わる全ての人たちに 実に大きな影響(アイデア&イ…

ストレンジなミックスフライ~黒沢清の ”蜘蛛の瞳”(1998年)

黒沢清監督の後期オリジナルビデオ作品。 同時期製作の ”蛇の道” はVシネテイストの範疇でしたけれど、 これはちょっと風変わりというか、ある意味 調理の下ごしらえに凝った、盛り合わせ定食のような映画ですね。 哀川翔と中村久美の夫婦 数年前に娘を惨殺…

最愛の女性は絵のなかで永遠に生き続ける~心優しいファンタジー映画 ”ジェニーの肖像”

1948年のアメリカ映画(監督/ウィリアム・ディターレ) 悪人が一人も出てこない、ハートウォーミングな佳品です。 舞台は冬のニューヨーク 今一つ芽の出ない画家にジョセフ・コットン セントラルパークで 一人の少女(ジェニファー・ジョーンズ)と出会…

ホホホ、男を殺して髄液を飲めば私は若返るのよ! 一晩限りだけど・・・ ”THE LEECH WOMAN”

1960年製作のアメリカ映画(監督/Edward Dein) これはもうB級映画の真骨頂、低予算&急いで撮影 そして話の中身がグチャグチャという。 医師のフィリップ・テリー 診察時間中なのに患者を待たせて 奥さん(コリーン・グレイ)と大喧嘩。 もはや離婚は…

こんな女優さんは素敵だ!私的フェイバリットを洋&日本映画から何人か

私は出演する役者さんの名前で 観る映画をチョイスするということはないですけど やはり、女優さんの好みというか おお、素敵だなあ! (その役にピッタリはまっている、とも言えますかね) と思うことはあります。 印象に残っている人を何人かランダムに挙…

映画で性教育のお勉強? セクスプロイテーションムービー ”SEX MADNESS”

なんか、ドラキュラ映画のポスターみたいですが こちらは1938年のアメリカ映画 ”SEX MADNESS” 一時間にも満たない小品なのですが 俗に言う、エクスプロイテーションの典型的な一例ですね。 1930年代に入ると、アメリカ映画は業界内で 自主規制の基準…

セクシーなテナーサックス&ヨランタ・ウメッカ、ポランスキーの第一作 "水の中のナイフ"

”戦場のピアニスト” や ”ローズマリーの赤ちゃん” で知られる ロマン・ポランスキーのデビュー作品(1962年) 出演者はたったの3人。 湖でヨットセーリングを楽しもうとしている夫婦が 途中、若い男を誘います。 妻を演じているのがヨランタ・ウメッカ …

21世紀にも人情はある~フィンランドの名匠アキ・カウリスマキの ”ル・アーヴルの靴みがき”

フランスの港町、ル・アーヴルで靴みがきをしている マルセル(アンドレ・ウィルム) 仕事で辛い時もあるのですが 愛妻家の彼は、長年連れ添った妻との暮らしを なによりも大切にしています。 しかし妻(カティ・オウティネン)の身体に異変が。 (玉ねぎに…

名匠中川信夫の冴えたカメラワークが光る ”毒婦高橋お伝”

日本の猟奇犯罪史といった実録ものには 必ず登場する高橋お伝。 相当数の映画化作品があると思いますが こちらは1958年の中川信夫監督版 お伝に扮するのは 当時30代前半だった若杉嘉津子。 脂の乗った余裕の演技を見せてくれます。 上映時間74分の小…

これを観たら、もう最新封切りの映画なんて要らないでしょう? ”カメラを持った男”(1929年)

1929年のロシア映画 ”カメラを持った男” (監督/ジガ・ヴェルトフ 撮影/ミカエル・カウフマン) これはきてますね。 圧倒的な出来栄えです。 時代の先取り、といった次元の話ではなく。 100年、200年単位で超越してしまってますから。 一人のカ…

ブリティッシュの香り高きフィルム・ノワール2篇 ”私は逃亡者” & ”邪魔者は殺せ”

主に1940~50年代に作られた 犯罪映画~フィルム・ノワールということですと ハリウッド製作の諸作品がすぐに思い浮かびますが (”深夜の告白” ”飾窓の女” ”サンセット大通り” ”現金に体を張れ”・・・) 今回は同年(1947年)に作られた英国ムービ…