バンコクマインド

タイの過去現在未来と音楽映画書籍の旅

書籍

”黒い雨” ”海と毒薬” 原作と映画が高評価の二作品

井伏鱒二の「黒い雨」 遠藤周作の「海と毒薬」 戦後の日本文学を代表する作品としてあまりにも有名ですね。 この2冊には *太平洋戦争(で起きた事項)がテーマとなっている *回想形式を取っている という共通項がありますが、 映画化された際にも同様のポ…

50センチのウェストで繰り出すダンスはアスリート級~アステアも認めたヴェラ=エレン

アメリカはオハイオ州出身の女優さん&ダンサー。 10代の時に既にブロードウェイの舞台に立ち 後に映画界に進出、 多くのスターと共演を果たします。 小柄で細身の人ですが よく見るとウェストが細すぎません? ジーン・ケリー他と共演した”踊る大紐育”(…

昔の映画は ”古い” のか? 1952年製作の ”現代人”

友人と映画の話をしていると ”ねえ、あなたいくつ? あなたの言ってる映画って50年前とか下手すると100年前だったりするじゃない。一世紀よ、一世紀前ってもう歴史上というか昔すぎてイメージ湧かないわ” なんてよく呆れられるんですね。 なので、 *私…

本当の宝物は少しでいいんだ~つげ義春の1967年~1968年

私はリアルタイムでは つげ義春の作品の数々に出逢っていません。 かの ”ねじ式” が1968年、 まだ幼稚園ですからいかにも無理。 (そもそも、つげ義春が好きな幼稚園児って変ですよね。 ディズニーとかぐりとぐら、きかんしゃやえもん、ならともかく) …

綿密な取材&圧倒的な構成力に唸る ”アドルフに告ぐ”~by 手塚治虫

手塚治虫の後期の代表作に挙げられる大作 ”アドルフに告ぐ” 史実と手塚のイマジネーションが融合した まさに傑作。 決して手塚治虫の大ファン、というわけではない私が ぐいぐいと物語に惹き込まれて 頁をめくる手が止まらなくなりましたから。 未読の方が居…

FRIDA KAHLO~フリーダ・カーロについての記憶の断片

バンコクの古本屋で フリーダ・カーロの生涯を追った書籍を買いました。 (フリーダ・カーロ~引き裂かれた自画像/堀尾真紀子著/中公文庫) フリーダに関する書籍や映像作品は数多く作られていますので その波乱に満ちた一生~47年間と決して長くはないの…

セリフのオーケストラ~名優、仲代達矢の凄さは「声」にある

仲代達矢というと 一連の黒澤作品、 なかでも後期の ”乱” ”影武者” あたりが 世界的にも、もっともよく知られた 代表作でしょうか。 私は日本の名優を一人挙げるとするならば この人だと思うのですが それは視覚的な立ち振る舞いに加えて 「声」の魅力が圧倒…

その角を曲がると異世界に行ってしまう~諸星大二郎の漫画宇宙

漫画界の巨匠、諸星大二郎の 短編作品をいくつか。 時代設定は古代~現代から未来へと 自由にワープします。 頁をめくるだけで 惑星旅行や時間遊泳を楽しむことが出来ますよ。 ”楽しい”というより 恐ろしくて、悲しくて 淋しいことも多いかもしれませんが。 …

医者からみた死、娘からみた死 実話をもとにした読み応えのある2冊

ある程度の年齢の方なら ”和歌山毒物カレー事件” のことは 記憶にある方が多いのではないでしょうか。 1998年、町内会の催し物で配られたカレーに ヒ素が混入されており、63人が中毒症状となり 4人が亡くなったという凄惨な事件です。 犯人として逮捕…

孤高の俳優 渥美清と漂泊の俳人 尾崎放哉

40数作も作られた「男はつらいよ」で あまりにも有名な国民的俳優、渥美清。 映画で見せる庶民的な役柄とは裏腹に 私生活では徹底的な個人主義者だったことも よく知られています。 親しい役者仲間にも住所や電話番号を知らせない。 映画の試写会や舞台を…

私のごく貧弱な漫画遍歴~昭和の時代は100万光年の彼方

子供時代に読んでいた漫画といえば ”のらくろ” や ”タンクタンクロー”、”冒険ダン吉” というのは勿論冗談ですが 戦後の赤本~貸本時代にはまだ産まれておらず。 サンデーやマガジンといった少年週刊誌が発刊されるのが 1960年前後~だと思いますので、そ…

狂気と孤独のラウンドゲーム~人はボクシングに魅せられる

スポーツを題材にした映画は相当数あると思いますが なかでもボクシングがテーマになっている作品、 目立つように思います。 かのチャップリンも 今から100年以上前に製作していますし カーク・ダグラスやハンフリー・ボガードなど名優の 主演作もありま…

“名優” 小松政夫の訃報

喜劇俳優、小松政夫が亡くなりました。 晩年まで芸能活動を続けていましたので 若い世代の方にも知名度が高かったのではないでしょうか。 芸能界入りの前は車のセールスでトップの成績をおさめていたこと、 600人の倍率を突破して植木等の付き人になった…

「私のお尻が・・・」小津監督といえばローアングル、しかし女優さんは困っていた

世界の小津監督の特徴といえば ローアングル、ローポジションのカメラ位置。 実際に映画を観てない人まで その事実を知っているという、ある種珍現象。 1956年製作の”早春” 奥が中北千枝子、手前が淡島千景 確かにカメラ目線が低いですね。 立ち上がる二…

博覧強記の作家、小林泰三氏が逝く・・・

先月 SF、ホラー、ファンタジーと多彩なジャンルの作品を 精力的に発表していた作家の小林泰三氏が亡くなられました。 まだ50代の若さでしたが、闘病中だったとのこと。 私はファンと呼べるほどの冊数を読んでいるわけではないのですが 初期の諸作が強く印…

1956年 ゲバラの瞳の先に映っていたものは・・・

スティーブン・ソダーバーグ監督の2008年作品 "Che" かのチェ・ゲバラの半生を描いた およそ4時間半に及ぶ大作です。 www.youtube.com 作品自体も勿論、見応えがあるのですが なんといってもゲバラを演じる ベニチオ・デル・トロの熱演が圧倒的。 ゲバ…

ニヤリ ホロリ しんみり・・・三人の名手による短編小説競演

重厚な長編からライトな短編まで 幅広い作風の著者による クスッと笑ってしまう 家~家庭をテーマにした作品集。 突然のリストラから主夫生活となった主人公 思いの外、家事は苦ではなく 「ここが青山」 妻が家出、残された夫は独身時代の感覚に戻り マンシ…

情念という名の魔界~東電OL殺人事件から23年

有名大学を卒業し 一流企業の総合職として働く女性が 渋谷のアパートで遺体となって発見された事件。 当時(1997年)、あらゆるメディアで センセーショナルな報道合戦が展開されました。 (女性には別の”夜の顔”があったのです) 関連書籍は実に多数出…

被写体とのディスタンスは零センチ 荒木経惟~アラーキーの世界

1970年代、”いけない”雑誌って結構ありましてね。 もう今なら即アウトの内容てんこ盛り。 こっそり隠れて買ってましたよ。 「写真時代」とか「ウィークエンドスーパー」 アラーキーの作品もよく掲載されてました。 アジアの闇を歩く、なんていう特集があ…

すれ違いと思い違いの花束 桐野夏生の珠玉の短編15編

1994年から98年にかけて発表された 作品を収録した2冊の短編集。 この時期には作者の代表作である 長編の「OUT」も執筆されています。 映画&TVドラマ化もされましたので、よく知られていますね。 まさに脂ののっている時期だったのでしょう。 www.yo…

毎週サンデー買って、引き裂いて保存した~楳図かずおの”漂流教室”

楳図かずおの代表作の一つ ”漂流教室” 連載が1972年~74年。 当時は小学生だったんですが、毎週毎週 もう待ち遠しくて 貪るように読んでましたね。 その頃のサンデーは おれは直角(小山ゆう) ダメおやじ(古谷三敏) 男どアホウ甲子園(水島新司) …

児玉清とじゃがいもにアタック!

蔵書2万冊 海外旅行に行く際には手荷物の中に洋書が入っているだけ など、無類の本好きで知られた俳優の児玉清。 ご本人も軽妙なエッセーを何冊も書かれています。 そのなかの一節、 ”いくら食べても飽きることがない素朴で淡白な味は僕にとって最高の美味…

昭和の巨匠、松本清張の ”推理モノではない” 短編いろいろ

あまりにも有名な文壇の巨匠 松本清張。 頻繁に映画やテレビドラマ化もされましたから 亡くなって随分経ちますが 若い世代の方にも比較的名が通っているかもしれません。 おそらくは、”点と線”や ”砂の器”などの 推理小説の大家としての評価が高いかと思うの…

みんな事情があるから、一緒に生きる  "I AM SAM"と"ギルバート・グレイプ"

"I AM SAM"(2001年) "WHAT'S EATING GILBERT GRAPE"(1993年) この2本には”事情”をもった人物が登場します。 通常は障害~障がい という言葉を用いるのかもしれませんが 私は事情、という言い方がしっくりくるんですね、 あくまで自分が自分に対…

”覚えていない”迷宮世界 桐野夏生の「柔らかな頬」

精力的に作品を発表している 桐野夏生の1999年著作。 これは渾身、超絶の一冊で ”棺桶に入れる書籍”の筆頭ですね。 メインのテーマは幼女失踪事件で 母親と家族、母親の不倫相手、元刑事など 様々な人物が登場し、 それぞれの視点で事件が再現~ 語られ…

タルコフスキー vs KUROSAWA 映像美の極致に浸る

映画の魅力って色々と挙げることができると思います。 よく練られた脚本、豪華スター共演、最新のCGやSFX技術・・・ では ”映像美” というキーワードで思い浮かぶ作品はというと その筆頭のひとつはこちらかと。 www.youtube.com 言わずと知れた黒澤明の”乱”…

実際の冤罪事件を題材にした今井正監督の真骨頂 "真昼の暗黒"

”青い山脈” ”また逢う日まで” ”ひめゆりの塔” “キクとイサム” など日本映画史に残る作品を多数製作した 巨匠、今井正監督の力作(1956年) 脚本は ”七人の侍” ”白い巨塔” ”砂の器” を手掛けた これまた第一人者の橋本忍。 老夫婦が殺され、犯人の青年は…

奇妙な、そして背筋の凍る世界へようこそ~名手による短編小説の数々

ニヤリ、あるいは抱腹絶倒系の短編も多い 中島らもの著作のなかでも ホラー色全開の1冊。 プロローグ、エピローグとして 掌編が置かれており 緻密に構成されています。 旅人がたどり着いた絶海の小島は 平和な時が流れるパラダイス、のはずだったのだが 「…

GONE WITH THE CORONA...EVERYWHERE

近所のパブレストラン、 今回のコロナ禍の影響でしょう。 かなりの大型店だったのですが 随分以前にクローズ。 街を歩いていてもシャッターが降りたままの 店舗が目につきます。 日本でも飲食店の苦境が伝えられていますが、 数か月前 ”老舗ビアレストランの…

歴代日本映画の名女優への名インタビュー~川本三郎

映画評論家の重鎮であり、 多数の著作をもつ川本三郎の1冊。 1990年代に雑誌連載されていた 女優さんへのインタビューをまとめたものです。 今では半分くらいの方が亡くなられていますね・・・ 川本氏自身がこれらの女優さんの大ファンであり、 またそ…