バンコクマインド

タイの過去現在未来と音楽映画書籍の旅

書籍

センス抜群だが放送禁止で残念・・・円谷プロの2作品

あまりにも有名なウルトラシリーズの第四弾 ”ウルトラセブン”(1967~1968年) 円谷プロのテレビ番組は その後も続々と製作されていくわけですが おそらく頂点に位置するのが 本作のセブン、でしょうね。 全部で49話が放送されたのですが ”欠番”に…

芦川いづみ&劇団民藝創立メンバーの小品 ”いのちの朝”

宇野重吉が頑固で一本気な画家 芦川いづみが父親想いの娘に扮する 70分弱の小品です。 (1961年公開) 宇野は腕は確かなのですが 世間で受けるような派手な作品を嫌い 風景や静物画ばかりを描いています。 一般的な知名度はほぼゼロ。 芦川は自分がモ…

植木等の体技が見もの~クレージーキャッツ結成十周年記念 ”大冒険”

1965年公開のクレージーキャッツ映画 監督はお馴染みの古澤憲吾。 結成十周年を記念してということで スケールの大きい力作に仕上がっていますね。 (当初からメンバーだったのはハナ肇と犬塚弘のみ) 植木と谷が主役なのは 他のシリーズと同じですが 本…

小学校が舞台、しかし大人が主役の ”人間の壁”

社会派の巨匠 山本薩夫監督の1959年度作品。 キネマ旬報のランキングでは その年の第6位とかなりの好評価 石川達三の同名小説が原作です。 小学校が舞台で 子供たちのエピソードも出てはくるんですが それは傍系で ドラマの中心は教職員の組合活動に関…

亀井文夫&新藤兼人&山田五十鈴の真っ向勝負 ”女ひとり大地を行く”

監督、脚本、出演俳優の顔ぶれからして すばりストレートな社会性メッセージに溢れた 骨太の作品ですね。 (ただタイトルは今一つ内容に沿っていないような気もしますが) 舞台は戦前から戦後にかけての 北海道の炭鉱。 撮影も実際の炭鉱で行われ 主演の山田…

忘れるな、というメッセージがすべて "ひろしま”

関川秀雄監督の1953年度作品 原爆投下直後の広島の惨状を 克明に描いたシークエンスでよく知られています。 特定の主人公を据えているのではなく 主に二組の家族が辿った運命を中心に 多数の広島市民が登場する スケールの大きい群像劇になっています。 …

蟹工船

おれな、母さん、おれはいつの間にか、ずいぶんと有名な小説家になったけど、内心びくびくしてるんだ。 いろいろなことがわかればわかるほど、権力って恐ろしいもんだと、背中がざわざわすることがある。 これ見てくれ、おれのこの小説、✖✖がたくさんついて…

つげ義春ファンでもそうでなくても楽しめる秀作映画 ”リアリズムの宿”

これはGOODですね。 なにより脚本が実に秀逸ですよ。 (監督/山下敦弘 脚本/向井康介・山下敦弘) 原作がかの つげ義春作品ですから 正直どうだろう・・・ という不安もあったのですが オールドファンも納得 つげの漫画を読んだことのない人にも 充分楽し…

耳より、でない話

耳がですね 無性に痒くなることってありません? 突然くるんですよね。 我慢できないくらいにカユイ。 あんまり耳の中っていじらないほうがいいみたいですが 何かに取り憑かれたように 耳かきでガシガシ、ゴシゴシ。 やめられない&とまらない状態ですよ・・…

インテリジェンスの悔恨と降伏を描いた ”きけ、わだつみの声”

1950年(昭和25年)に製作された ストレートな反戦映画で 公開当時大きな話題を呼んだ作品です。 (監督/関川秀雄) 戦没学生~学業途中で戦地に赴いた若人の手記がベースになっていますので 様々な学校名が登場します。 東大、三高、慶応、早稲田、…

いかりや長さん キャリア最晩年の秀作テレビドラマ ”逃げ口上”

長さんこと、いかりや長介主演のテレビドラマ 2002年秋の放送(テレビ東京系列)ということで 2004年の3月に亡くなる長さんの 最晩年の作品になりますね。 監督は鷹森立一 1960年代から膨大な数のテレビドラマを撮っている人ですが この作品当…

キネ旬3位の人気作、ショーケンの人情喜劇映画 ”居酒屋ゆうれい”

萩原健一主演の1994年度作品 (監督/渡邊孝好) 封切り当時かなり話題になりましたし 評価も高かったですね。 いわゆる人情もの なんですが、コメディ色が強調されています。 それにホラー&ファンタジー風味も加えてある 幕の内弁当的なエンタメ映画。…

可憐な月丘千秋の好演が光る芸道映画 ”殺陣師段平”

マキノ正博監督の1950年度作品 芸のためなら女房も泣かす・・・ いわゆる「芸道もの」映画の代表的な一本ですね。 市川右太衛門、月形龍之介、山田五十鈴 といった大スターが揃い踏み。 進藤英太郎、杉狂児といった芸達者が脇を固めます。 (この年山田…

SLY & JACKAL

スライ・ストーンが亡くなりましたね。 意外と(言ったら失礼ですが)長寿を保ったんだなと。 全盛期は短くて 70年代半ばにシーンから姿を消して以降 実質引退状態でしたから。 "HOT FUN IN THE SUMMERTIME" SLY & THE FAMILY STONE www.youtube.com もう…

音楽が場違いなまでにゴージャスなスペイン産ホラー "FACE OF TERROR"

ある晩 医学教授フェルナンド・レイのもとに 顔面に酷い痣のある 一人の女(リサ・ゲイ)が突然やってきます。 先生、私の顔をなんとかして! レイは研究中の細胞増殖を活性化させる血清を投与。 ゲイは美しい顔を取り戻します。 しかしゲイはレイの忠告を聞…

マイティなジャックとコロンボ

円谷プロが1968年に製作した ”マイティジャック” 特撮マニアの方なら誰でも知っている しかし一般的な知名度としては ”ウルトラマン” や ”ウルトラセブン” ほどではない ややマニアックな連続テレビシリーズ。 結果的にいうと 期待された視聴率には遠く…

虹のバリエーション

"SOMEWHERE OVER THE RAINBOW" LIVINGSTON TAYLOR www.youtube.com "RAINBOW EYES" BRIAN WILSON www.youtube.com "RAINBOW IN YOUR EYES" AL JARREAU www.youtube.com ”虹” 貝がら www.youtube.com ”虹を歌おう” 赤い鳥 www.youtube.com ”BROKEN RAINBOW” L…

このセンスのよいカメラマンはいったい誰ぞや? 100年前の文部省制作 ”女子の運動と体育”

これは古い・・・ 大正13年(1924年)& 大正15年(1926年)に 作られた計45分ほどの記録映画。 文部省の制作によるもので 一般の商業映画ではありません。 内容は体育の授業のあれこれ それも女子学生にフォーカスした 異色作ですね。 色々な…

計算され尽くした二人芝居が圧巻、ショーケン主演の名作テレビドラマ ”君は海を見たか”

1982年にフジテレビ系列で 放送された全11回のテレビドラマ。 これは傑作です。 当時もそう感じて(珍しく)毎週見ていましたけれど 今見返しても唸る場面が多いですね。 脚本(倉本聰)が異常なレベルで緻密です。 主演の萩原健一も のちの著書で触れ…

「あなたは私のペットなのよ」~ヒモ男の怒り爆発、女優陣が魅力の ”蜘蛛の女”

昨日の ”恐怖劇場 アンバランス” シリーズから もう一作見てみましょう。 ”蜘蛛の女”(監督/井田深・脚本/滝沢真理) 円谷プロ初期の名作 ”ウルトラQ” ”怪奇大作戦” の テイストを引き継ぐ ホラードラマの佳作です。 佐々木功は駆け出しのカメラマン 個展…

撮影してから3年間もお蔵入り・・・しかし製作スタッフや役者の顔ぶれが豪華な ”恐怖劇場 アンバランス”

一話完結のテレビドラマ(全13回)で 製作はかの円谷プロとフジテレビ。 1969年~1970年に全パートを撮り終えていたのですが 放送されたのは1973年で しかも深夜の時間帯。 ですのでリアルタイムで観た、という人は限られているでしょうね。 …

ため息が出るほどスタイリッシュ・・・実相寺昭雄監督の ” 京都買います”

これは記念碑的テレビドラマで よく知られていますね。 (シリーズとしても最高の)”怪奇大作戦” の 最終回近く、1969年3月の放送。 この回は完全に岸田森と ゲストの斎藤(斉藤)チヤ子の二人芝居。 あまりにもあまりにも カメラ撮影が素晴らしすぎて …

田中好子の好演をベテラン俳優陣が支える今村昌平監督の ”黒い雨”

大変に評価の高い作品で 1989年度のキネ旬ランキングで 日本映画ナンバーワン。 有無を言わさぬ迫力で グイグイ押してくる作風の印象が強い 今村監督ですが、 本作では静謐なモノクロの画面と 大挙出演しているベテランの役者陣も 抑えた演技が特徴。 そ…

作品の出来はイマイチだが、ホルンを吹く上原謙が見どころの ”東京のえくぼ”

1952年(昭和27年)と 戦後それほど間もない時期の ドタバタ喜劇。 主演の上原謙&丹阿弥谷津子以外の配役がかなり賑やかですね。 柳家金語楼、清川虹子、古川緑波、小倉繁、田中春男、小林桂樹・・・ 更にゲストに高峰秀子や伴淳三郎まで顔を見せるの…

現存する日本最古の本格長編映画 ”路上の霊魂”

今から1世紀以上前 (関東大震災の2年前) 1921年に封切られた日本映画ですが 監督の村田実、製作総指揮に小山内薫、脚本に牛原虚彦、助監督に島津保次郎と 当時の最先端をいく錚々たる面々による製作。 既に多くの映画が国内でも撮られていましたが 「…

大人に変わるその時~少女が見た夢の世界 ”ヴァレリーの不思議な一週間”

チェコスロヴァキアの鬼才 ヤロミール・イレシュの1970年度作品。 カルト的な人気があるようですけれど 日本語のタイトルが凄いですね。 ”闇のバイブル 聖少女の詩” なんか、初期の日活ロマンポルノみたい・・・ あとジャンルがホラーに分類されてるんで…

大国に挟まれたウクライナの塗炭の苦しみを伝えるドキュメンタリー映画 ”バビ・ヤール”

セルゲイ・ロズニツァ監督の2021年作品 (オランダ/ウクライナ製作) タイトルになっているバビ・ヤールとは ホロコーストの舞台として知られる地名ですが 映画の内容は第二次大戦中、および前後の期間における ウクライナ(主にキーウとリヴィウ)の状…

”戦場にかける橋” の序章になった早川雪洲主演の ”悲劇の将軍 山下奉文”

長きに渡った欧米での生活に区切りをつけて 日本に腰を落ち着けた早川雪洲の主演作。 (監督/佐伯清 1953年公開) 山下将軍を演じる雪洲は 当時60代後半でしたが 貫禄十分。 セリフ数はそれほど多くないのですが 泰然と構えているだけで絵になります…

プロフェッショナルな技巧が冴える、樋口一葉原作の映画化 ”大つごもり”

明治29年(1896年)に発表された 樋口一葉の短編小説 ”大つごもり” を 名手今井正監督が1953年に映像化したもので 時間は40分ほど。 (一葉の他の作品と併せて全3話からなるオムニバス映画として公開) 今井監督は社会的メッセージを前面に打ち…

犬猿の中味

この前、手塚治虫の不朽の名作 ”ブラック・ジャック” を読み返していたら ふと気づいたんですね。 「動物の出番が多いな」 なかでも犬と猿は複数回のエピソードに登場します。 ”犬のささやき” は事故死した恋人の音声を 飼い犬の声帯の筋肉に装着させて 犬が…