バンコクマインド

タイの過去現在未来と音楽映画書籍の旅

「私の最低作!」大女優おおいに嘆く~精神病棟が舞台の ”残虐療法”

 

この女優さんは誰でしょう?

 

いやいや

脇役のその他大勢とかではなくて

かのローレン・バコールさんですよ。

 

 

んなバカな。

あのハンフリー・ボガートの奥さんでもあった

アメリカ有数の大女優とは思えない・・・

 

まあともかく中味を見ていきましょう。

 

 

カリフォルニア郊外の豪邸に暮らす

億万長者の未亡人が

庭師の男(ロディ・マクドウォール)に

惨殺されます。

 

殺人方法が猟奇的だったために

ロディは精神病院送りに。

未亡人が残していたはずの莫大な財産の在り処を

探るために、スチュアート・ホイットマンが患者を装って

ロディに接近します。

 

 

精神科医ローレン・バコール

ロディに暗示をかけて

現金が隠されている場所を聞き出します。

 

ふふふ、これでマネー独り占めだわ

 

 

一方ローレンはスチュアートの挙動に不信感を。

 

あなたも金を狙ってるのね

そうはさせないわ

あなたをここにずっと居られるようにしてあげる

「本当の患者」になるのよ

 

 

薬物の投与を受け続けたスチュアートは

完全に無気力な状態に陥ってしまいます。

 

 

車椅子に座って茫然としているだけの

スチュアートを女性患者のキャロル・リンレイ

偶然に発見。

 

 

どうしたの?

最近見かけなかったけれど

 

スチュアートはフェンス越しに必死に訴えます。

た、たすけてくれないか・・・

 

 

その頃ローレンは

ロディが金を埋めたという場所に行って

地面を掘り返します。

そして紙包みは実際にあったのですが

中から出てきたのは現金でなく・・・

 

 

スチュアートとキャロルは無事に外の世界へ。

代わりに病院に収容されたのは

愚かな犯罪計画が崩壊した結果、

精神のバランスを崩してしまったローレンだったのです・・・

 

ということでストーリー自体は

別に悪くないんですね。

むしろ上出来の部類。

 

問題はキャスティングで

ロディ・マクドウォール(ミスター猿の惑星!)と

キャロル・リンレイはOK。

しかしもっとも出番の多いスチュアート・ホイットマン

内容にフィットしてないんですね。

この男優さんはもっと汗臭い戦争ものなどが似合うタイプで

本作のような心理サスペンスには正直不向き。

 

監督さんの力量も明らかに不足していて

各シーンにも冴えがありません。

 

ローレン・バコールもそういったことに

不満があったのでしょう。

医者という役柄も不適格ですし

なにより「綺麗に撮られていない」んですね。

明らかに演技の際のテンション低し。

(後年、自分の映画人生でワースト作品と言い切っています)

 

別の監督さん、違う配役で撮ったら

随分違う仕上がりになったと思いますね。

 

scene from "Shock Treatment" (1964)

www.youtube.com

 

 

余談ですが

キャロルとスチュアートのフェンス越しのシーンを観ていて

諸星大二郎の名作

”蒼い群れ” (1981年)を思い出しました。

 

”蒼い群れ” 「ぼくとフリオと校庭で」双葉文庫に収録

 

勿論プロットは全然違うのですが。

 

 

もし映画と漫画の二択なら

(バコールさん、すみません)

漫画のほうを読みましょう・・・