バンコクマインド

タイの過去現在未来と音楽映画書籍の旅

合計1000頁超!~驚異の記憶力で辿るJAZZの黄金時代 by ビル・クロウ

 

いやあ、正直

読むのに時間を要しました。

(飛ばしたところもあります。済みません、著者&訳者のお二人・・・)

 

ビル・クロウというベーシストが

主に1950年代のアメリ東海岸

JAZZシーンを活き活きと描写した

力作であります。

 

 

この人自身は前面に出るタイプではなく

まさに縁の下の力持ち。

アルコールやドラッグとも距離を置き、

破滅的なライフスタイルで短命に終わることの多かった

同時代のミュージシャンとは異なり

90歳を越えた今もお元気です。

 

Bweebida Bobbida   Gerry Mulligan Quartet

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ジェリー・マリガン・カルテットに在籍していた時のアルバム、

クロウ氏もにこやかにジャケットに写っています。

 

さてクロウ氏は丁寧に日記を付けていたのか

あるいは記憶力がもともと良いのかわかりませんが、

この2冊には膨大な数のミュージシャンが登場します。

よく知られているスター・プレイヤーのみに

スポットライトが当たっているわけではありません。

 

 

さて、ここで問題が。

だいたい翻訳ものの小説を読む場合

登場人物が10、20名になってくると

混乱しません?

 

それどころではないんですね、

軽く500名以上の人名が出てくるわけです。

で、そのほとんどがミュージシャン。

ピアニストだったりホーン奏者だったり、ドラマーだったり。

 

そうすると

それらのミュージシャンの演奏(レコード)を

ある程度聴いていませんと

イメージが浮かばないんですね。

ただのカタカナの羅列になってしまいますから

ボブとかジョンとかビリーとかジャックとか・・・

 

I'm Tellin' Ya     Zoot Sims & Al Cohn

www.youtube.com

 

なので、頁がすすまないんですよ

なかなか。

名前を知らない&

(知っていても)その人のリーダーアルバムを聴いたことがない

というケースが頻発してしまうのです。

 

今は便利な時代で、かなりマイナーな音源も耳に出来るようになりましたし

訳者の村上春樹氏が詳細なレコードガイドを付けてくれているので

その点は大いに助かります。

 

で、読んでいて

知らないミュージシャンが出てくる度に

その人の演奏が聴ける音源にあたると。

リーダー作が無い(&少ない)人も多いですから

結構大変なんですよね、

他のミュージシャン名義のアルバムも参照しなくてはいけないので。

 

Royal Garden Blues    Al Haig

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後追いの世代(私もそうですが)には

その全てを咀嚼するのは

ハードな気もしますね。

ちょっとした ”修行” だったりして。

 

年単位、

でゆっくり

いきましょうかね。

(お遍路さんみたい・・・)

 

和田誠氏の素敵なイラストと

アルコール&コーヒーの杖の力を借りながら。

 

 

さよならバードランド」「ジャズ・アネクドーツ」

いずれもビル・クロウ著/村上春樹

新潮文庫