バンコクマインド

タイの過去現在未来と音楽映画書籍の旅

人間は、月に行ってもドタバタしてしまう生きものなのです~"WOMAN IN THE MOON"

 

名匠フリッツ・ラングの1929年作品。

男女6人がロケットに乗って

月に向かう物語です。

(地球に帰る際には人数が減っている)

 

 

全体は3つのパートに分かれていて

 

~出発するまで

~ロケットの打ち上げ&宇宙空間飛行の様子

~月面着陸&探検&地球へ帰還

 

それぞれが1時間前後あるというかなりの長丁場

(上映時間については色々なバージョンあり)

 

 

宇宙船に乗り込むのは6人と結構な人数。

最初のパートでは各自のバックグラウンドや月に行く目的

および人間関係が説明されています。

(嫉妬、友情、恋愛、敵対・・・)

 

 

ロケットの打ち上げシーンにはかなりの時間が割かれていて

この映画の見どころのひとつ。

サンダーバードウルトラシリーズの遥か以前に

これだけのスケール感で映像化されていたことに

感動すら覚えることでしょう。

 

 

ロケット内の場面は

ユーモラスなシーンも多いですね。

 

 

無事に月面に到着してからは

若手の学者チームはフィールドワークに勤しむのですが

金鉱探索目当てに来ていた老教授は

見事に洞窟内で発見。

デカデカと GOLD の字幕がインサートされるという

遊び心が楽しいですね。

(全体的に同監督の ”メトロポリス” と比較するとリラックスした雰囲気が強い)

 

 

しかし人間関係のもつれや事故が発生し

状況はシリアスな局面に。

 

二人の乗員が命を失い

残されたメンバーも全員は地球に帰れず

誰かが月に残らなければいけないという

究極の選択を迫られることになってしまうのです・・・

 

 

脚本は監督の奥さんが書いていますが

SF、サスペンス、冒険、ロマンス、コメディの要素がテンコ盛り。

力量の不足している監督ですと捌き切れずに

ゴチャゴチャになってしまうところを

さすが名監督、バランスよく仕上げています。

 

紅一点のゲルダ・マウルスは知的で上品

安定した演技を見せてくれていますが

やや印象が弱いかなと。

彼女を巡って男たちがライバル関係になって張り合うのですが

ちょっとクール過ぎる(印象を与える)

ような気も。

 

 

物語序盤で

謎めいたカットがあるんですね。

 

花売りの若い娘が

車に向かってにこやかに近づいてくるんです。

ほんのちょっとの出番なのですが

しかしなぜか、どーんとクローズアップで顔が写るので

妙に記憶に残るシーンになっています。

 

Alexa von Porembsky 

という、ハンガリー出身の女優さんですが

個性的なルックスなので

もうちょい本筋に絡めて

出演場面を多くしたら、結構面白かったのでは?

(静的なゲルダと対比させるような感じで)

 

 

"Frau im Mond" (1929)    Trailer

www.youtube.com