ヤーコフ・プロタザナフ監督の
1924年度作品。
かの ”メトロポリス” に先立つこと3年
創成期のサイエンスフィクション映画として知られています。
ロシア・アヴァンギャルドの代表的アーティスト
アレクサンドラ・エステルの
衣装デザインが目を惹きますね。
火星の女王を演じている
ユリア・ソーンツェアは後に監督業に転身、
海外各国で高い評価を受ける作品を
自ら手掛けていくことに。
さて、ここで描かれている火星は
奴隷制が敷かれているのですが
女王が決起して
革命を起こすという流れになっています。
当時のソ連の状況が反映されているのでしょう。
プロバガンダ映画としての側面も強いですね。
しかしそれではエンタメ色が足りないので
適度にコミカルな場面を入れ込んであります。
(火星に到着した地球人が、火星人のコスチュームを見て警察と勘違い。結局自分が連行されてしまう)
全体で2時間近くとかなりの長丁場なのですが
時間的には火星シーンよりも
モスクワの日常風景のほうに比重がかかっていて
そちらでは通常のドラマ展開。
終盤には
ツイスト~ひと捻りが加えられていて
ジ・エンド。
やや未整理で冗長な場面が結構ありますし、
ツッコミどころも満載なのですが
(空気もあって暑くも寒くもない火星、どこからどう見ても地球人の火星人)
なんといっても一世紀前に
これだけの内容を映像にしたわけで
”パイオニア” 賞が
相応しい佳作であります。
scene from "Aelita~Queen Of Mars"