これはマスターピースですね。
シュテファン・ウヘル(チェコスロバキア)監督の
1963年作。
ブラスチラヴァ(監督の生まれ故郷)のアパートで暮らす
Jana Beláková
浮気者の父親
それを苦にして自殺を図り、目が不自由な母親
全てを達観したような弟
との4人暮らし。
写真撮影が趣味で
いつもカメラを持ち歩いているボーイフレンド
Marián Bielik
が居るのですが、二人が会う時の会話はいつも刹那的です。
Marián は
郊外の集団農場での労働奉仕に出かけるのですが
そこで出会った
魅力的な女性と付き合うようになります。
一方、Jana にも
別の彼氏が現れるのですが
心の中は空虚なまま。
農場から戻った Marián は
久し振りに Jana と再会。
二人は懐かしそうに見つめ合い
固く抱擁を交わすのですが・・・
一組の男女の微妙な心模様を軸に
家族の関係性(祖父、父、母、子供)を
丁寧に解き明かしていく手腕はお見事。
都会/田舎
カメラ/盲目の母
太陽光線/日蝕
プール/干上がった川面
などを対比させていく
シークエンスの積み上げも
鮮やかですね。
(手前に見つめ合っている若い二人、後方に背中を向けている母親と弟)
監督にとっては2作目の長編ですが
ここまで上手いと
もう何も付け加えることはありませんね。
ちなみに出演者のほとんどは
演技経験の無い素人か
映画学校の学生たちということで、
オーディションの様子が残されています。
"Slnko v sieti" casting (1962)
蕎麦だけでなく
そばつゆも引き締まった味わいの
隠れた名店の90分。
機会があれば
ご賞味くださいまし。
"The Sun In A Net" Trailer