バンコクマインド

タイの過去現在未来と音楽映画書籍の旅

60代で逝った名優二人 萩原健一&根津甚八

 

ある程度の年齢の方で

ショーケン萩原健一

のことをまったく知らない

聞いたことも見たこともない

そんな人は皆無でしょう。

 

テンプターズPYG、ソロでの音楽活動

数々の映画やテレビで発揮された

圧倒的な存在感は唯一無二のものでした。

 

ショーケン”(講談社)は

2008年に出版された自伝で

幼少時から若くして芸能界入り

スターダムから様々なトラブルに見舞われた

中年以降の半生が

かなりフランクに語られています。

 

 

世間的にはよく知られている

ヒット曲や役柄が

必ずしも本人の好みではないこと。

 

また俳優仲間についても

かなり辛辣なコメントがあったり。

 

特に松田優作については

「ただひたすら自分の真似をしているだけ」

という記述が何か所か登場します。

(映画 ”ブラックレイン” のオファーは当初、ショーケンにきたそうです。高倉健が演じた刑事は勝新太郎、ヤクザの大親若山富三郎藤山寛美マイケル・ダグラスの部下はアンディ・ガルシアではなくてトム・クルーズニューヨーク市警の上司にはジーン・ハックマンが予定されていたとのこと。これはこれで凄いキャスティングですね)

 

傷だらけの天使” ”前略おふくろ様”

といったテレビドラマはあまりに有名ですが

私は ”君は海を見たか”(脚本/倉本聰)という

80年代前半の作品が印象に残っています。

 

(妹役に伊藤蘭ショーケンは難病で余命僅かな息子の父親を演じています)

 

 

こちらは1996年の単発テレビドラマで

”テロリストのパラソル”(原作/藤原伊織

 

ショーケンと共演としているのが根津甚八

この役者さんにもショーケンと共通するような

「匂い」を感じますよね。

 

 

根津甚八

唐十郎状況劇場のメンバーでしたが

一般的にブレイクしたのは

NHK大河ドラマ ”黄金の日々” での

石川五右衛門役。

 

以降、黒澤作品に出演したり

石井隆監督とは

特に名タッグでしたね。

 

”GONIN” (1995年) 元妻役に永島暎子

 

ちょっとびっくりしたのが

二人の実年齢。

ショーケンが1950年生まれ

根津甚八は1947年ということで

根津のほうが年長なんですね。

ショーケンのほうがずっと年上だと思っていました。

ショーケンがそれだけ若いうちから注目を浴びていたということなのでしょう)

 

 

二人は五社英雄監督の ”226” でも共演していますが

(撮影場面は別々)

ともにキャリア後半は体調不良に悩まされ

思うような芸能活動が出来なくなってしまいます。

 

ショーケンは2019年に68歳で

根津甚八は2016年に69歳で

世を去ります。

 

老境を迎えた名優二人の共演作を

是非見たかったですね。

役作りに異常なほどの集中力で臨んだ二人のことですから

丁々発止の演技論を今頃

闘わせていることでしょう。

 

 

参考図書

ショーケン萩原健一著・講談社

根津甚八」根津仁香・講談社