バンコクマインド

タイの過去現在未来と音楽映画書籍の旅

今日はブギ・ウギ・ウギ

 

先月までNHK

笠置シヅ子をモデルにしたドラマが放映されていて

人気があったんですって?

 

私はここ20数年間、一切テレビ番組は見ていないので

中味はとんと分かりませんが

演じたのは水谷豊と伊藤蘭夫婦の娘さんとか。

でしたら、さぞかし素敵な演技をされたことでしょうね。

 

さて笠置の代表的ナンバーで

よく取り上げられるのが

”買い物ブギー” (1950年)

 

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同年公開の ”ペコちゃんとデン助” 

という映画のシークエンスですが

後半の歌詞に今ならば完全にアウトの

放送禁止用語が2ワード出てきてますね。

(聞こえない&見えないを意味する言葉)

 

映像的には完全なワンテイクではありませんけれど

長回しの箇所が多く見ごたえがあります。

魚屋さんのTシャツに Swing とプリントされているのが

洒落てますね。

 

ものまねタレントのミラクルひかる

この一連の場面をリメイク/リモデルしていますけれど

これが素晴らしい仕上がり。

 

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放禁ワードはしっかり消してありますね。

 

 

1948年の黒澤明の ”酔いどれ天使” の

歌唱シーンも強烈な印象がありますけれど

あくまでメインは

ドラマパートの三船敏郎や小暮実千代たちであって

笠置が映っている時間はごく限られています。

 

”ジャングル・ブギー”(1948年)

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ジム・ジャームッシュ

ここでの笠置を「女版キャブ・キャロウェイ」と称していますが

プラス、浪花千栄子のキャラクターと(似てません?)

熱演ぶりということではベティ・ハットン

思わせるところもありますね。

 

”アニーよ 銃を取れ” (1950年)

 

歌うだけでなく演技者としての

笠置シヅ子を楽しめるのが

1949年の ”銀座カンカン娘”

 

 

歌手引退後、役者として多数の番組に

出演することになる笠置ですが

コメディエンヌとしての才能を充分に発揮しています。

 

ただレコードでヒットした

”銀座カンカン娘” は高峰秀子の持ち歌で

(映画のなかでは笠置も歌いますが)

あくまで、笠置は高峰の引き立て役のポジションですね。

 

高峰秀子は自著で、追っかけをするほどの笠置の大ファンだったことを記しています)

 

”銀座カンカン娘”(1949年)

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巨体の男性は日大相撲部出身という

異色キャリアの喜劇人、岸井明。

 

 

戦前から活躍していた人ですが

稀代の見巧者、色川武大の著作では

笠置や岸井についても頁が割かれていて

興味深いですね。

 

(笠置の本領は戦前から1947年の ”東京ブギウギ” までで、以降大衆的な人気が出てからは同じようなスタイルの曲ばかりになってしまったとの指摘あり)

 

歌と演奏のノリの良さという点では

1939年の ”ラッパと娘” が際立っているように

思いますね。

これは本当に永久保存版!

 

”ラッパと娘”(1939年)

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さて洋楽で BOOGIE~と付いた曲となると

もうキリが無いですね。

スティービー・ワンダー、EW&F、ヒートウェイブアル・ジャロウ・・・

 

忘れちゃいけないのがこの曲

 

"BOOGIE OOGIE OOGIE" (1978)  A TASTE OF HONEY

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女性二人が楽器を弾きながらフロントに立つという

ソウルグループでは珍しいラインアップでした。

でもこれだと笠置シヅ子の路線ではないなあ

 

"BOOGIE SHOES" (1978)  K.C. & THE SUNSHINE BAND

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これなら

「日本のブギの女王、ミス・SHIZUKO KASAGI がゲストで来てくれました!」

なんて紹介されてステージに出て来ても

違和感ないような。

 

まあ

「わてほんまによう言わんわ」

と返されそうですけれど・・・

 

参考図書

「なつかしい芸人たち」色川武大著・新潮文庫

「わたしの渡世日記(下)」高峰秀子著・文春文庫

黒澤明という時代」小林信彦著・文春文庫