80歳を越えて、今なお
精力的に芸能活動を続けている
加山雄三。
30年ほど前に亡くなられていますが
お父さんの上原謙は、
一世を風靡した2枚目俳優でした。
戦前戦後を通じて膨大な数の映画に出演していますが、
自伝の ”がんばってます” (共同通信社/1984年)
で、かなりの頁を割いて
もっとも気に入っている作品として
”浅草の灯” (島津保次郎監督/1937年)
を挙げています。
舞台は大正時代の浅草
相手役はデビュー間もない
当時19歳の高峰三枝子。
二人はいわゆる「浅草オペラ」の劇団員
という役柄です。
団員仲間として、多くの俳優さんが出演しているのが
一つの見どころです。
まずびっくりするのが
歌って踊る若き日の杉村春子。
歌唱力も相当なもので
戦後の小津映画のおばさん役からは
想像できない艶姿。
既に芸達者で
”別れてもいいから、手切れ金を頂戴!”
と何度も叫ぶ場面がお茶目です。
誰だかお分かりですか?
笠智衆!
これまた老け役(原節子のお父さん、寅さんの御前様など)の時とは
まったく印象が違いますね。
黒澤明の作品でも
特に有名な ”生きる” (1952年)
重要な役どころで好演していた
日守新一という俳優さんが居ますが、
こちらの作品でも
少しだけ映るシーンがあります。
うーん、若い!
ちょっと気づきませんね・・・
上原や仲間たちは協力して
窮地に陥った高峰を助けるのですが、
威勢よく啖呵を切る上原謙が新鮮です。
容貌の良さだけが求められている
「ただ出ていればいい」映画と異なり、
演技の見せ場が多く、ご本人にとって
会心の出来だったのでしょうね。
(実際、かなりハードな殴り合いの場面などもあります)
さてさて、上原&高峰のご両人は
40数年後に湯煙のなかで共演を果たします。
随分と話題になったので、覚えている方も居られるでしょう。
若き日の二人のあいだには
ロマンスがあったのでしょうか?
自伝では、「高峰さんとは妹のように接していた」
と書かれていますね。
ちなみに息子さんの加山雄三は
どちらかというとお母さん(小桜葉子)似ですね。
上原と加山は一時、茅ヶ崎市に
パシフィックホテルという
リゾート施設を経営していて
子供の時分に何回か遊びに行ったことを
うっすら覚えています。
映画やテレビの歌番組の撮影にも
よく登場してましたね。
例えばガメラシリーズの
”ガメラ対宇宙怪獣バイラス” (1968年)とか。
特撮セット
実際のロケーション
おっとっと
浅草からすっかり場所が変わってしまいましたので
この辺りでお終いということで。