バンコクマインド

タイの過去現在未来と音楽映画書籍の旅

「名作」 ≠ 「お気に入り」 それがまた奥深い映画の世界

 

別に映画に限りませんが

ベストもの、ランキング系ってよく目にしますよね。

見るべき外国映画100本とか

評論家の選ぶ今世紀最高の映画リスト

などなど。

 

で、俗にいう名作~マスターピースって

割と同じ顔触れが並ぶんですね。

指定席みたくなったりしていて

順位が変動する程度。

 

 

でも名作だからといって

必ずしもフェィバリット~自分好みかというと

それはまた別になってきません?

 

名作か否かという評価は

かなりの程度客観的なジャッジですけれど

個人的な好き嫌いって

理屈を超えた部分がありますからね。

音楽とか絵画、人を好きになったり嫌いになったりするのも

そうですよね。

 

 

こちらはさる高名な映画評論家(双葉十三郎)の

日本映画における名作ベスト10と

氏のご贔屓ベスト10のリスト。

 

見事にばらけていて面白いですね。

 

名作のほうに

二十四の瞳” が挙げられていますね。

これ、確かに

本当に「名作」なんですよ。

 

二十四の瞳” 予告編

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観ていない方は少ないと思いますが

泣きますよ、日本人なら。

私のように斜めに構えて

人の言うことを聞かないはぐれ者からしても

じ~んとくる場面の連続ですから。

そして瀬戸内の風景(小豆島での長期ロケ)の美しいことといったら。

 

 

大石先生に扮した高峰秀子

名エッセイストでもありましたが

著書のなかで、度々撮影時のエピソードを語っています。

 

監督の木下惠介はコミカル、シリアス

非常に幅広い作風の人ですが

やはり生涯の代表作といえば

本作ということになるでしょうね。

 

(鎌倉にある木下家の墓)

 

ただ、双葉氏と同じで

私もこの作品が

歴代の日本映画で

紛うことなきトップ10であることには

完全同意なのですけれど

お気に入りか?ご贔屓か?

ということになると、ちょっと違うんですよね。

 

 

じゃあ、マイご贔屓ベスト10は何かというと

それは入れ替わっちゃうんですね。

その時その時で。

名作リストのほうはフィックス出来ますけれど。

 

楢山節考” 予告編

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木下作品でいえば

私は ”楢山節考”(1958年)に

感銘を受けましたね。

1983年度の今村昌平監督版がよく知られていると思いますが

それと対照的に全編スタジオセットで撮影されているんですね。

 

「お気に入り度」でいえば

こちらをチョイスすると思います。

でもトップ10入りということはないかな?

 

なんてことをとめどもなく

つらつら頭に思い描いたりするのが

映画の快楽&醍醐味ということで

お開きにいたしましょう。

 

参考図書

「日本映画 ぼくの300本」双葉十三郎著・文春新書

「まいまいつぶろ」高峰秀子著・新潮社

「わたしの渡世日記」高峰秀子著・文春文庫

「天才監督 木下惠介長部日出雄・新潮社

その他