バンコクマインド

タイの過去現在未来と音楽映画書籍の旅

映画

ウェルメイド!ミュージカル映画の隠れた傑作 "EVER GREEN"

ミュージカル映画というと どうしてもハリウッドで作られた諸作品を 連想しますけれど こちらは1934年のイギリス産 (監督/ビクター・サヴィル) 時は1909年 押しも押されぬ舞台の大スター(ジェシー・マシューズ)が 引退。 最後のステージも大盛…

すべてがOKカット、圧倒的な構成美の ”都会の女”

ドイツ出身の名匠 F・W・ムルナウのアメリカ製作作品(1930年) これはもう匠の技がまざまざと発揮された一本ですね。 無駄なカットがひとつもありません。 あらゆるショットがこれ以上ないほどのアングルで 撮影されていて。 洋画でいえばベルイマンの …

地中海クルーズの豪華客船で取り戻す家族の絆 ”5人のテーブル”

カリフォルニア在住の ジョン・ヴォイト、妻とは5年前に離婚しています。 妻は3人の子供を引き取って 裕福な弁護士のリチャード・クレンナと再婚、 家族でニューヨーク暮らし。 年に一回、ヴォイトは子供たちに会いに来るのですが 一念発起して豪華客船の…

ケーリー・グラント&ドリス・デイの都会派ラブコメ映画 ”ミンクの手ざわり”

ベタですが洒落ている 楽しい楽しい1時間40分ですね。 (監督/デルバート・マン 1962年製作) 実業界のタイクーン ケーリー・グラントは 国連でスピーチしちゃうほどの 超有名人。 あまりに口が上手いので (当時の)ソ連代表もパチパチ グラントの…

まだまだ続くよ WHO DO WE THINK WE ARE ?

リリアン・ギッシュ(女優・米) もえのあずき(タレント/フードファイター) ジョニ・ミッチェル(ミュージシャン・米) リッキー・リー・ジョーンズ(ミュージシャン・米) アビー・リンカーン(ジャズボーカリスト・米) 杉村春子(女優) 新井康弘(俳…

ピクニック気分にはならず・・・名作の誉れ高い "PICNIC"

ジョシュア・ローガン監督の 1955年作品。 これは非常に有名な映画ですね。 アカデミー賞も多くの部門で 受賞&ノミネート。 キネマ旬報のベスト10でも その年の第三位にランクされています。 しかし私は のれなかったんですよね~ 正直。 お話は超シ…

「パパ、私のお芝居どう?」チャップリンの長女ジェラルディンの力作 "悲しみは星影とともに”

かのチャーリー・チャップリンの長女 ジェラルディン・チャップリン主演の 1966年作品(監督/ネロ・リージ イタリア&ユーゴスラビア製作) ナチスドイツ占領下のユーゴスラビアで暮らす ジェラルディン、 母は既に死亡 父親は収容所送りになっています…

元祖、なんて嫌な娘なんでしょう・・・"THE BAD SEED~悪い種子(たね)”

これはちょっときてますね。 結構ヤバいです。 1956年製作の古い映画なんですが 公開当時は相当にショッキングだったんではないでしょうか。 (監督/マーヴィン・ルロイ) パティ・マコーマックは8歳の可愛い女の子。 優しいパパとママのもとで すくす…

「名作」 ≠ 「お気に入り」 それがまた奥深い映画の世界

別に映画に限りませんが ベストもの、ランキング系ってよく目にしますよね。 見るべき外国映画100本とか 評論家の選ぶ今世紀最高の映画リスト などなど。 で、俗にいう名作~マスターピースって 割と同じ顔触れが並ぶんですね。 指定席みたくなったりして…

幕の内弁当を2個食べたような満腹感のミュージカル映画 "TILL THE CLOUDS ROLL BY"

これは観た後 お腹(頭)いっぱいになりますね。 1946年のミュージカル映画(監督/リチャード・ウォーフ) 構成が2本立てになっていて ドラマパートは アメリカの著名な作曲家ジェローム・カーンの 半生記なんですね。 演ずるはロバート・ウォーカー。…

メタファー盛りまくり、キャサリン・ヘプバーン&エリザベス・テイラーの "SUDDENLY,LAST SUMMER"

青年医師のモンゴメリー・クリフト 勤め先の病院に多額の寄付を望めそうな未亡人 キャサリン・ヘプバーンの屋敷を訪ねます。 一人乗りのエレベーターでヘプバーン登場。 な、なんだ このおばさんは ヤバい感じ・・・ ヘプバーンはただひたすらに 亡くなった…

外国人にはちょっと厳しいか・・・映画界永遠のマスターピース ”イヴの総て”

映画には何本か 絶対的名作~「観てから死ね」レベルの 評価が定まった作品がありますが この "ALL ABOUT EVE" (監督/ジョセフ・L・マンキーウィッツ)は その代表的な一本ですね。 お話はシンプルで スターを夢見るアン・バクスターの 成り上がりシンデ…

不動のカルト映画のポジション確立 "顔のない眼"

これはサスペンス/ホラー系の作品としては ファンのあいだでよく知られていますね。 (仏・伊共同製作 監督/ジョルジュ・フランジュ) 物腰の落ち着いた婦人アリダ・ヴァリ 街中で若くて美しい娘に声を掛け 屋敷に招くのですが なんと屋敷の主ピエール・ブ…

地味で堅実・・・そんなミュージカル映画があってもいい ”虹の女王”

まあおよそ ミュージカル映画というものは 派手なものです。 歌って踊る場面がメインなわけですから。 この作品はそういう意味では 目立たないんですね。 勿論踊りのシーン、ちゃんと用意されていて 主人公のジューン・ヘイヴァーも 相当に上手いんですね。 …

人間を無害な家畜に・・・アイデアは良かったが結局はBクラスのSF映画 "THE BUBBLE"

小型飛行機が不時着するんですね。 メインの通りが一本あるだけの 小さな町が近くにあって 一安心と思いきや なんか住人の様子が変なんですね。 オウム返しで同じことしか言わないし ゼンマイ仕掛けの人形のような ぎこちない動作。 町自体も まるで朽ち果て…

内縁の妻に33歳で撃ち殺されたジャズメンの物語 ~ "I CALLED HIM MORGAN"

リー・モーガンといえば 十代の頃から ディジー・ガレスピー楽団や アート・ブレーキー&ザ・ジャズ・メッセンジャーズといった 人気グループに在籍し、 自分名義のリーダー作も多数のトランペット奏者。 同時に33歳の若さで 長年連れ添った女性から拳銃で…

戦時下のマレー半島が舞台 ~ ”アリスのような町”

1942年、太平洋戦争下のクアラルンプールで イギリス人のグループが 日本軍の捕虜に。 成人男子はトラックで連れ去られたのですが 残された女性や子供たちは 徒歩での移動を命じられます。 しかし行く先々で 受け入れを拒否され 体調を崩す者が続出。 満…

MASAKA OSAKA

いや~ 大阪の万博 人、いっぱい居ましたよ といっても1970年の話なんですけどね。 全線開通間もない東名高速使って 見に行ったんですよ。 最大の売り物が確か アメリカ館の月の石、だったかな。 凄い行列だったよなあ。 またやるんですって? なんか国…

観応え十分、アメリカン・フィルムノワールの力作 "HE RAN ALL THE WAY"

自堕落な日々を送るだけのジョン・ガーフィールド 強盗に失敗、警官を撃ち殺してしまいます。 市営プールに逃げ込んだガーフィールド 一人で来ていたシェリー・ウィンタースに 泳ぎを教えるふりをして 警察の捜索の目をかいくぐります。 (プールサイドに警…

東京転々&東京脱出 日本映画のロードムービー2本

三木聡監督の2007年作品。 これはお茶目で楽しい! 日本映画の私的フェイバリットであります。 借金取り(三浦友和)と返済不能の学生(オダギリジョー)が 東京各地を歩き回るという設定。 (三浦は借金をチャラにしてやるから、俺に付き合えとオダギリ…

RE-MAKE/RE-MODEL カリガリ博士とその孫娘

1920年公開のドイツ映画 ”カリガリ博士” これはもう全映画史のなかでも 絶対に欠かすことの出来ない永久保存版。 夢遊病者チェザーレを演じる コンラート・ファイトの熱演もあって 観る者すべてに強烈な印象を残すこと間違いなし。 時を経て 1962年…

日本軍が恋のキューピッド?南太平洋が舞台の "FATHER GOOSE"

太平洋戦争下、南太平洋諸島で 気ままに暮らすアメリカ人の 元教員ケーリー・グラント オーストラリア海軍のトレヴァー・ハワードから 「戦局は厳しさを増している。君も我々に協力せんかい」 ということで、離れ小島での監視業務を命じられます。 相棒のガ…

これぞ正調B級SFムービー “遊星から来た脳生物”

青年科学者ジョン・エイガー ボディ全体が脳からできている宇宙人に 身体を乗っ取られてしまいます。 脳星人の目的は地球侵略。 エイガーは操られるままに 飛行機を墜落させたり 邪魔な人間を次々と殺害。 エイガーの身を案じる 恋人ジョイス・メドーズのも…

26歳でこの完成度・・・驚異の映画監督、山中貞雄

16歳の原節子 可愛いというより 既に美しさが際立っていますよね。 しかし演技力、ということでは 限界が当然あるわけです。 それを補うのがまさに 監督とスタッフの腕の見せどころ。 セリフ数を必要最小限に削って 子役を登場させることで 原の抱えている…

現場は大混乱&評価もボロクソ、でも悪くないよね・・・"THE LAST RUN"

映画は規模の大きいプロダクションなので 製作段階で”揉める”ことがありますが この作品はその最たるものだったようです。 当初は名匠ジョン・ヒューストンが撮る予定でしたが 主演のジョージ・C・スコットと息が合わず監督を降板。 脚本の修正にも手間取り…

オイラは一人で死んでゆく・・・ジュールス・ダッシンが描く男の挽歌 "UPTIGHT"

イラストタッチの洒落たアニメーションがタイトルバックで 目を惹きます。 (作者はアカデミー賞アニメーション部門の受賞者 ジョン&フェイス・ハブリー) スムースなR&Bナンバーがテーマソングで 音楽担当がブッカー・T・ジョーンズ 期待を抱かせるスター…

無人の国連ビルで自由と平和を希求する・・・”摩天楼の影”

1953年度のアメリカ映画 (監督/マックスウェル・シェーン) ナチスドイツの収容所のサバイバーである ハンガリー人の青年ヴィットリオ・ガスマン。 移民船でニューヨーク港に到着しますが 入国審査でアメリカ上陸が認められず、 乗船してきた船で本国…

共同体から二度、疎外された男の物語 "DRAGON'S RETURN"

これは寓話ですね。 特定の国とか時代が設定されているわけではない。 人里離れた村落に 眼帯姿の男がやってきます。 かつてはこの村の住人でした。 男を見かけた村の女 昔日の幸福だった記憶が 蘇ります。 (非常に技巧的な連続ショット、監督のセンスの冴…

「アメリカの恋人」メアリー・ピックフォードのお茶目な "THE POOR LITTLE RICH GIRL"

これはもう ただただ楽しい (そしてハートウォーミングな) 77分間。 (監督/モーリス・ターナー) ピックフォードは大富豪の一人娘。 お城のような屋敷に暮らしていて 家庭教師だけでも5人が控えています。 (外は危ないからと学校に行かせてもらえな…

新天地を求めてシシリーからフランス国境へ、ピエトロ・ジェルミの ”越境者”

オープニングの構図が決まりまくり 掴みはOK! (と監督も思ったはず) イタリアはシシリー南部のうら寂れた鉱山町。 廃坑が決まって、行くあてのない住民たちは 新天地をフランスに求めます。 故郷に別れを告げ、 バスや電車を乗り継いで イタリア各地を北…