青年医師のモンゴメリー・クリフト
勤め先の病院に多額の寄付を望めそうな未亡人
キャサリン・ヘプバーンの屋敷を訪ねます。
一人乗りのエレベーターでヘプバーン登場。
な、なんだ
このおばさんは
ヤバい感じ・・・
ヘプバーンはただひたすらに
亡くなった息子セバスチャンのことを
語り続けます。
(骸骨の置物を挟んだ二人)
屋敷の中庭は
まるで熱帯雨林のジャングルのようなのですが
食虫植物に餌をやるヘプバーン
「お腹が空いたでしょ、いっぱい食べなさいな」
ますます尋常ではありませんね。
亡きセバスチャンの部屋に案内されたクリフトですが
裸体の男性のスケッチが。
その他飾られている絵画やオブジェも男ばかり。
そう、セバスチャンは同性愛者だったのです。
この映画は至るところに暗喩~メタファーを示す
小道具が配置されているのですね。
骸骨→死人がでた
食中植物→それは殺人によるものである
といった具合に。
クリフトはヘプバーンの姪である
エリザベス・テイラーの許へ向かいます。
テイラーはセバスチャンの死亡現場に居合わせていたのですが
そのショックで現在は精神病棟に入院中。
両者のあいだにはマリア像が。
救いの道が用意されていることを
仄めかしていますね。
ヘプバーンの骸骨と真逆の設定。
男性病棟&女性病棟に
迷い込んでしまうテイラー。
実に構成され尽くした場面が続きます。
こちらも性的メタファー表現ですね。
最初の30分間はヘプバーン
続いての30分間はテイラー
にスポットが当てられています。
(クリフトが狂言回しというか聞き役)
そしてヘプバーンの屋敷に関係者を集め
その面前でテイラーの告白が始まります。
なぜセバスチャンは殺されたのか?
ここからはシュールな映像表現となって
幻想的かつ悪夢的なシーンが続きます。
それはおぞましい光景ではあったのですが
テイラーの精神は回復を見せ始め
それと共に
知られたくなかった息子の性癖と
自身との歪んだ関係性を暴露されてしまった
ヘプバーンの精神が完全に崩壊します。
クリフトに向かって
「あなたは私の愛しのセバスチャン」
と呼びかけて、エレベーターに乗り込み
階上の自室へと姿を消していくのでした・・・
名匠ジョーゼフ・L・マンキーウィッツの
実にダークな115分間。
(原作/テネシー・ウィリアムズ)
マンキーウイッツの代表作といえば
一般的にはなんといっても
”イヴの総て” ですが
私はこの作品のほうが好きですね。
観ていて楽しくはないですよと
念押ししたうえで、
普通の映画はつまらない
という、”ちょい捻” の方に
お勧めします。
(日本語タイトルが ”去年の夏、突然に” となっていますがメロドラマ~ラブストーリーでは全くありません)
"Suddenly,Last Summer" Trailer