バンコクマインド

タイの過去現在未来と音楽映画書籍の旅

外国人にはちょっと厳しいか・・・映画界永遠のマスターピース ”イヴの総て”

 

映画には何本か

絶対的名作~「観てから死ね」レベルの

評価が定まった作品がありますが

この "ALL ABOUT EVE" (監督/ジョセフ・L・マンキーウィッツ)は

その代表的な一本ですね。

 

 

お話はシンプルで

スターを夢見るアン・バクスター

成り上がりシンデレラストーリー。

 

 

最初の頃は控え目で従順だった彼女が

あの手この手で周囲の人間を

利用するだけ利用して

ただポイ捨てにしていくという。

 

 

一番の犠牲者がベテラン女優のベティ・デイヴィス

姉御肌の彼女はバクスターの面倒を見ていたのに

役を取って代わられてしまいます。

世間はバクスターを称賛し、名誉ある映画賞も

バクスターの手に。

 

 

当時40代だったデイヴィスにぴったりの役柄で

特に前半部分は彼女が完全に主役です。

 

 

脇の共演者

ジョージ・サンダース、セレステ・ホルムゲイリー・メリルヒュー・マーロウらが

いずれも好演。

 

 

長年デイヴィスの身の回りの世話をしている

セルマ・リッター

小津映画の杉村春子的ポジションで

笑いを誘います。

 

 

この映画はごく初期のマリリン・モンロー

出演作としても知られていて、

登場シーンは僅かなのですが

確かに目を惹きますね。

(後の時代より顔立ちも身体つきもスリム)

 

(階段にメインの登場人物が座っている素晴らしいカット!)

 

ちょっと難を言えば

デイヴィスやバクスターが実際に舞台に立っているシーンが

あっても良かったかなと。

(業界内幕ものなので、場面は楽屋などのオフステージのみ)

 

あと登場人物が芸能関係者なので

セリフの量が膨大で会話のスピードも早く

(言われたらすぐに言い返す)

英語が母国語でない人間には

面白さが伝わり切らない部分がどうしてもありますね。

字幕では到底追いつかないし

皮肉や比喩表現も頻出しまくりですから。

 

 

アン・バクスターは一世一代の名演技連発。

(身体を前屈みにして相手から目を逸らさず、変に甘えたり適当な合いの手を入れず「あなたの話を真剣に伺っています」ポーズを取るのが異常に上手い。相手が好印象を持つことを分かってやっている頭脳プレイ)

 

監督のマンキーウィッツにとっても

キャリアの頂点で

これ以降は下降線気味に。

 

 

ラストシーンも強烈ですね。

観た人は全員唸ると思いますよ。

私はこの映画、マイベスト100ではないのですが

(200なら入る)

このエンディングは数ある洋画のなかでも

最高峰だと思いますね。

 

2時間超えの長丁場ですが

未見の方はどうぞ

「生きているあいだに」

ご覧ください。

高名な映画評論家が揃って

そう言っておられるようですから。

 

キネ旬の昭和26年のランキングですが、外国映画トップ3の顔ぶれが超強力)

 

"All About Eve" (1950)  Trailer

www.youtube.com

 

参考図書

「外国映画 ぼくの500本」双葉十三郎著・文藝新書

映画検定 公式テキストブック」キネマ旬報映画総合研究所編・キネマ旬報社