バンコクマインド

タイの過去現在未来と音楽映画書籍の旅

RE-MAKE/RE-MODEL カリガリ博士とその孫娘

 

1920年公開のドイツ映画

カリガリ博士

これはもう全映画史のなかでも

絶対に欠かすことの出来ない永久保存版。

 

 

夢遊病者チェザーレを演じる

コンラート・ファイトの熱演もあって

観る者すべてに強烈な印象を残すこと間違いなし。

 

 

時を経て

1962年に制作されたのが

”怪人カリガリ博士

キャラクターの設定が大幅に変えられていて

オリジナルのドイツ表現主義云々といった

テイストはまったくありません。

 

脚本を書いたのが

ヒッチコックの ”サイコ” の作者なので

スリラー/サスペンス風味の展開になっています。

 

 

この作品の魅力はなんといっても

主演のグリニス・ジョンズ。

戦前から出演作がある人で

ミュージカル、メロドラマ、時代劇とジャンルを問わず

芸風が大変に広い女優さんですが、

本作でも難しい役柄を演じ切っています。

 

 

撮影当時は40歳頃だと思いますが

独特のアニメボイスでセクシーさも充分。

 

(後のデイヴィッド・リンチ作品を思わせるようなシーンも)

 

 

オリジナル版を意識したような

オチもちゃんとついています。

 

惜しむらくは時間がやや長く(105分)

監督さんの技量がイマイチなので

冗長に感じるパートが散見される点ですね。

(従って評価もあまり良くない)

個人的には結構好きだったりするんですが。

 

(グリニスは今月4日に100歳!で亡くなりました)

 

さて、更に時は流れて

1989年

またまたリメイク版が作られたのですが

 

 

こちらはあっと驚く(というか、こけてしまう)

C級(いやDレベルか)度

全開のカルト作になっています。

 

 

カリガリ博士の孫娘が

メンタルクリニックを経営しているという設定なのですが

全てのキャラクターがぶっ飛んでしまっています。

 

 

それならそれで、その方向で

徹してくれれば良いのですが

スカスカのセット(80年代に流行ったMTVのビデオクリップ風)と

ヘロヘロの演技が脈絡なく続くという。

 

 

ちょっと目を惹いたのが

サントラ、

才人ミッチェル・フルームなんですね。

ボブ・ディランピーター・ゲイブリエルポール・マッカートニーシェリル・クロウなど数々の著名アーティストをプロデュース)

 

タイトルバックには1920年版の画像も使用されているし

なんか個人的な伝手でも

あったんでしょうかね。

 

 

まあいずれにしても

映画に真面目さを求める人は

間違っても観ないほうがいいとは思いますが・・・

 

"The Cabinet of Caligari" (1962)   Trailer

www.youtube.com

 

"Dr.Caligari" (1989)  Trailer

www.youtube.com