バンコクマインド

タイの過去現在未来と音楽映画書籍の旅

内縁の妻に33歳で撃ち殺されたジャズメンの物語 ~ "I CALLED HIM MORGAN"

 

リー・モーガンといえば

十代の頃から

ディジー・ガレスピー楽団や

アート・ブレーキー&ザ・ジャズ・メッセンジャーズといった

人気グループに在籍し、

自分名義のリーダー作も多数のトランペット奏者。

 

同時に33歳の若さで

長年連れ添った女性から拳銃で撃たれて死亡するという

ショッキングな最期を遂げたことでも知られています。

(1972年2月、演奏を行っていたライブハウスの休憩中に発生)

 

(お腹を前に突き出して猫背で吹く独特の奏法、ガレスピー譲りでしょうか)

 

2016年公開のドキュメンタリー映画

”私が殺したリー・モーガン

(監督/カスパー・コリン)

は、モーガンを撃った内縁の妻ヘレンが

1996年に亡くなる直前の音声テープをもとに

生前に交流のあったミュージシャンや関係者の

インタビューで構成されています。

 

 

ヘレンはモーガンよりもかなり年上で

男女の関係であると同時に

庇護者~母親的な存在でもあったようです。

 

ドラッグ、アルコール、女性関係が

「派手」だったモーガンに理解を示しつつも

微妙な心の揺れがあったのでしょうね。

 

"I Called Him Morgan"   Trailer

www.youtube.com

 

ヘビーな薬体験の後は

演奏にキレを欠いてしまうケースが多いのですが

1970年にカリフォルニアのジャズクラブで録音された

"LIVE AT THE LIGHTHOUSE" は

モーガン以下、バンドのメンバー全員が

素晴らしいプレイを繰り広げる好ライブ盤です。

 

"Speedball"   Lee Morgan

www.youtube.com

 

 

意欲的なオリジナル作品も多数書いていて

存命であれば編曲面でも才能を発揮したことでしょう。

このライブで共演した他のメンバーは全員

80代~90代の長寿というのが

なんとも皮肉です。

 

 

R.I.P.  LEE MORGAN (1938-1972)