1964年のアメリカ映画。
(監督/マイケル・ローマー)
大手でなくインディペンデント系の配給だったようで
あまり知られている作品ではないですが
これは素晴らしい出来映え。
舞台はアラバマ州のバーミングハム
鉄道線の補修作業員として働くアイヴァン・ディクスン
(バツイチ、別れた妻とのあいだに三児あり。養育費を払って元妻が育てている)
小学校の教師である
アビー・リンカーンと恋仲に。
二人は結ばれるのですが
彼等の新婚生活には
様々な問題が待ち受けているのでした・・・
大袈裟なアクションシーンなどは一切無く
ユーモアを感じさせる場面もほぼゼロ。
しかしシリアス一辺倒とも異なり
淡々としたストーリー展開が臨場感を生むことに成功しています。
(アイヴァン、アビー共に口数が少なく内省的なキャラクター)
黒人/白人の差別意識
ブルーカラー(アイヴァン)とホワイトカラー(アビー)による出自の相違
世代間の断絶
男女の心理のすれ違い
などを声高になることなく
丁寧に描写しています。
特に素晴らしいのがカメラ撮影(ロバート・M・ヤング)で
レストランのワンシーン
奥に白人の店員とお客
もう一人、別の客を通過させ
手前のアビーとアイヴァンを
アングルを変えて
再度クローズアップ。
この場面はアイヴァンがアビーに
結婚を申し込んでいるのですが、
アビーはアイヴァンと前妻との関係を気にしています。
揺れ動く微妙な心理状態を捉えた
素晴らしいカメラワークですね。
主演はジャズシンガーのアビー・リンカーン
しかし何故か映画のサントラは
当時人気全盛だったモータウン・レコードから発売されています。
ミラクルズやマーサ&ザ・ヴァンデラスの
ヒット曲が映像に被さっているのは
ちょっと違和感が・・・
(モータウンのビートが似合うような明るい映画ではありませんし)
ここはアビー自身の歌声が欲しかったところですね。
"Thursday's Child" Abbey Lincoln
"Nothing but a Man" Trailer