バンコクマインド

タイの過去現在未来と音楽映画書籍の旅

無人の国連ビルで自由と平和を希求する・・・”摩天楼の影”

 

1953年度のアメリカ映画

(監督/マックスウェル・シェーン)

 

ナチスドイツの収容所のサバイバーである

ハンガリー人の青年ヴィットリオ・ガスマン。

移民船でニューヨーク港に到着しますが

入国審査でアメリカ上陸が認められず、

乗船してきた船で本国に送還されそうになります。

 

 

ガスマンは船員の監視の隙を狙って

脱走に成功。

しかし大都会ニューヨークの雑踏に行き場が見つかりません。

 

 

見知らぬ若い女グロリア・グレアム)のアパートに

匿ってもらい、逃走時に負った傷の手当ても。

 

 

ガスマンの脱走は新聞にも掲載され

捜索の手が迫ってきます。

グレアムは捕まり、ガスマンは唯一人

ニューヨークの街を彷徨います。

 

 

そんな彼の目に飛び込んできたのが

そびえ立つ国連本部ビル。

多量の出血で意識が朦朧となっている

ガスマンは吸い込まれるようにビル内へ。

 

 

国名のプレートだけが置かれた会議室で

ガスマンは絶叫します。

「俺は平和と自由だけを求めているんだ。そんな一人の人間を誰も救ってくれないのか」

 

 

絶望したガスマンはビルの屋上へ。

そこへグレアムや軍隊時代の旧友(ジェリー・パリス)が

駆けつけます・・・

 

80分ほどの低予算ムービーなのですが

実際のロケシーンがふんだんに使われているので

臨場感は充分。

 

 

残念なのはアカデミー賞受賞者でもある

グロリア・グレアムがいまひとつ活かされていないこと。

ガスマンとの絡みもちょっと消化不良ですね。

 

 

ガスマンの窮地を救うダンサー役の

ロビン・レイモンド、演技が上手い人ですけれど

この人の扱いも中途半端。

 

冴えたショットもあちこちあるのですが、

全体の印象としては残念ながら今一歩。

(エンディングも尻切れトンボ気味)

この辺は監督さんの力量の問題でしょうか・・・

 

 

チラリと出てくるだけですが

実際のジャズ・ミュージシャンがクレジットされています。

 

トロンボーン奏者のジャック・ティーガーデン)

 

しかし映画全体の音楽を担当しているわけではないので

この辺りも勿体ないですね。

 

傑作に成り得る要素を持った

佳作、といった結論に

やはり落ち着きそうです。

 

"THE GLASS WALL"    Trailer

www.youtube.com