これは寓話ですね。
特定の国とか時代が設定されているわけではない。
人里離れた村落に
眼帯姿の男がやってきます。
かつてはこの村の住人でした。
男を見かけた村の女
昔日の幸福だった記憶が
蘇ります。
(非常に技巧的な連続ショット、監督のセンスの冴えが感じられます)
かつて二人は深く愛し合っていたのですが
男は村人から追放されてしまったのです。
(目の傷はその際に暴行されたもの)
男が村を去ってから
女は意に添わぬ別の男と結婚。
かつての妻の恋人の突然の出現に
夫は激しい嫉妬を覚えます。
(命まで奪おうとする)
夫の策略で
男は再び、村を追われることに。
ただ一人
荒野に向かって歩を進めます。
女は夫の肩越しに
ただ男の姿を見つめるだけでした・・・
(男が村に帰ってきてから、二人は一度も会話をしていない)
カメラ撮影が非常に特徴的で
ごく近く、手前の人物にしか焦点があっていません。
(いわゆる近視の世界)
ですので背景は全て霞んでしまっています。
1968年度のチェコスロバキア映画なのですが
(監督/Eduard Grencner)
当時のチェコを取り巻く状況や
監督の心情を反映させているのでしょうね。
(男が片目を失っていることや、舞台を架空の場所や時代にしている点を含めて)
村の女を演じる Emília Vásáryová は
気品のある美しさで印象に残りますが
近年に至るまで息の長い女優活動を
続けています。
Emília Vásáryová reflects "Drak sa viracia"
少々眼が疲れるかもしれませんが
ご興味のある方は是非に本編(85分)をどうぞ。