イラストタッチの洒落たアニメーションがタイトルバックで
目を惹きます。
(作者はアカデミー賞アニメーション部門の受賞者 ジョン&フェイス・ハブリー)
スムースなR&Bナンバーがテーマソングで
音楽担当がブッカー・T・ジョーンズ
期待を抱かせるスタートですね。
映像は1968年に起きたキング牧師暗殺事件後の
メンフィスでの葬列風景に繋がります。
このパートは完全に実写。
続いて本編がスタート。
テレビのニュースをぼんやりと見つめる
ジュリアン・メイフィールド。
かつては活動家の一員だったのですが
今は酒浸りの日々。
グループのメンバーからは
やる気の無さを非難され
かつての恋人(ルビー・ディー)にも
馬鹿にされる始末。
行き詰ったメイフィールドは
報奨金欲しさに
逃亡中の仲間の住処を
警察に通報してしまいます。
当然組織の知るところとなり
メイフィールドは追われる身に。
裏切者の烙印を押された彼に銃口を向けるのは
やはりかつての同志たちだったのです・・・
一見、人種差別をテーマにした
社会派的な作品かと思いきや
組織に身を置く者の葛藤に焦点を当てた
人間ドラマに仕上がっています。
(穏健派とテロ行為も辞さずグループ間の対立&抗争もテーマのひとつ)
全体(特に後半)の雰囲気が
日活のアクション映画に似ているんですよね。
藤原惟繕監督のカルト名作
”黒い太陽” (1964年)を
観ていて、思い出しましたよ。
”黒い太陽” の主演のチコ・ローランドと
本作のジュリアン・メイフィールドも
被る部分があるかなと。
(メイフィールドのほうがずっと演技力がありますが)
この際
二作続けて鑑賞してみるのも
面白いかもですよ。
"UPTIGHT" (1968) Trailer
scene from "BLACK SUN" (1964)