バンコクマインド

タイの過去現在未来と音楽映画書籍の旅

すべてがOKカット、圧倒的な構成美の ”都会の女”

 

ドイツ出身の名匠

F・W・ムルナウアメリカ製作作品(1930年)

 

これはもう匠の技がまざまざと発揮された一本ですね。

無駄なカットがひとつもありません。

あらゆるショットがこれ以上ないほどのアングルで

撮影されていて。

 

洋画でいえばベルイマンの ”処女の泉”

日本映画なら溝口健二の ”近松物語”

と並ぶ完全無欠の映像美です。

 

 

シカゴのカフェで働くメアリー・ダンカン

ゼンマイ仕掛けで鳴く

鳥のおもちゃだけが

話し相手の孤独な日々。

 

 

ある日勤め先に

思わず二度見してしまうイケメンの客が来店。

 

 

他のお客はそっちのけで

積極的に男(チャールズ・ファレル)の世話を。

 

 

食べ終えた皿や食器を自分で片付けるファレル。

「いいのよそんなことしなくて。私たちの仕事なんだから」

「家でもいつもこうしてるんだ。そう母親から教わったからね」

 

がさつな他のお客とは全然違う・・・

私この人好き!

 

ファレルは故郷のミネソタの農場に

ダンカンを連れて帰ります。

 

 

しかし頑固者の父親(デイヴィッド・トーレンス)は

都会の雰囲気を纏ったダンカンを毛嫌いし

 

 

農場で働く男たちからは

好色な視線を浴びせられる毎日。

 

 

田舎暮らしに憧れのあったダンカンは

「ここでも私は一人なんだ」

と絶望し、農場を去ろうとします。

(ファレルは気の弱いところがあって父親に逆らえない)

 

さてさて二人の運命や如何に・・・

ということで

ストーリー自体はシンプルで

特にどうということもないのですが

それ故にシーン毎の完成度が際立っています。

 

(名子役アン・シャーリーも出演)

 

ムルナウの他作品

吸血鬼ノスフェラトゥ” ”最後の人” ”サンライズ

と比べるとタッチが軽く

あまり取り上げられることはありませんが

映画好きなら大満足の逸品であります。

 

(100年近く前とは思えない洗練されたショットの連続)

 

(移動撮影による小麦畑のシーンもあまりに秀逸)

 

機会がありましたら

是非に本編をどうぞ。

 

"CITY GIRL" (1930)   Trailer

www.youtube.com