バンコクマインド

タイの過去現在未来と音楽映画書籍の旅

監督「私の最高作」俳優「たいしたことない」・・・さて実際の出来は? "かもめの城"

 

フランスは海辺(といっても砂浜ではなく人里離れた断崖絶壁)

の一軒家。

引退した判事(メルヴィン・ダグラス)と娘(パトリシア・ゴッジ)が

暮らしています。

 

 

家の裏手の農場にある案山子は

父親の古着で作った娘の手作り。

友達の居ないパトリシアにとって、かけがえのない相棒です。

 

 

ある嵐の晩

脱走犯(ディーン・ストックウェル)が

傷を負って逃げ込んできます。

最初は怯えたパトリシアでしたが、

ディーンが案山子の服を着ていたことから

親しみを感じるようになり

やがて愛情を抱くようになります。

 

 

父親の怒りをかった二人は家を出て

都会で暮らそうとしたのですが

長く続かず、パトリシアは一人で父親のもとへ。

ディーンも後を追ってきたのですが

警官隊が彼の背後に迫っていました・・・

 

 

シベールの日曜日” で天才子役ぶりを発揮した

パトリシア・ゴッジは本作でも

感情の起伏が激しい(かなりエキセントリック)

少女役を好演していますが、

比較するとややテンションがダウンか。

 

 

監督のジョン・ギラーミン

70年代のエンタメ大作

タワーリング・インフェルノ” ”キングコング” ”ナイル殺人事件

を撮った人ですが、この作品をもっとも気に入っていたようです。

 

一方、脱走犯役だったディーン・ストックウェルは

"I don’t think it was a good film"

とバッサリ切り捨てていますね。

 

 

もともとは ”シベールの日曜日” の監督だった

セルジュ・ブールギニョンにオファーがあったようですが

二番煎じになるからと拒否され

ギラーミンに話がいったようですね。

 

ブールギニョンも

"Patricia didn't get along with him (ギラーミン)at all"

といったコメントを残しています。

(俺がOKしていたら、もっとうまくやれたというニュアンスですね)

 

 

良いショットがいくつかあるんですね。

それは確かなんですけど

傑作、というレベルではないかな

というのが正直な感想です。

 

父親と娘の関係性がいまいひとつ描けてないんですよね。

(パトリシアの母が亡くなったことについて、両者は屈折した感情を抱いている)

それは当然、転がり込んできた脱走犯への感情~ある種の疑似家族的な

に繋がっていくはずなんですが

残念ながら

映像表現としては未消化に終わっているような。

 

 

原作は当時

かなり人気のあった小説とのことですが

そちらではどういう展開になっていたのだろう。

日本語訳は出ていないようですね。

 

 

どこかバンコクの古本屋で置いてませんかね。

まあ、読みこなせないでしょうけど

そもそも・・・