バンコクマインド

タイの過去現在未来と音楽映画書籍の旅

孤独な少女と男の純愛物語? いやいやそれはどうだろう・・・”シベールの日曜日”

 

シベールの日曜日

(監督/セルジュ・ブールギニョン)

 

1962年のフランス映画で

アカデミー外国語映画賞を受賞

キネマ旬報でもその年のベスト3に入っていますね。

 

ベトナム戦争帰りの男(ハーディー・クリューガー)は

従軍中に現地の少女の命を奪ってしまったことで

精神にダメージを負っています。

 

 

戦地でハーディーの世話をした看護師(ニコール・クールセル)は

そんな彼を献身的に支え続けます。

パリ郊外で同棲しているのですが

ハーディーは何をするでもなく、ただ日々を無為に過ごすのみ。

 

 

ハーディーはひょんなことから

修道院の寄宿舎で生活している一人の少女(パトリシア・ゴッジ)と

知り合います。

 

お互いに親近感をもった二人は日曜日になると

公園を散策し、楽しく語り合います。

しかしニコールや周囲の人々は

ハーディーとパトリシアの関係性に疑いを持ち始めます。

あの男はなにか良からぬ企みをもっているのではないか・・・

 

クリスマスイブを一緒に過ごそうとした二人

そこに警察チームが向かいます。

「大人の犯罪行為から未成年を守る」ために・・・

 

 

これは観る人によって感想が大きく分かれるところで、

無理解な世間が

心に孤独を抱えて社会から疎外されている二人の

ピュアな交流を(永遠に)引き裂いたとも取れるわけですね。

なんと悲しい

プラトニックなラブストーリーかと。

 

 

でも、別のアングルの捉え方もありますね。

 

ハーディーは平気でものを盗みます。

(複数回の描写があります。パトリシアを喜ばせようと思っての行動ですが)

 

 

また、パトリシアが他の子供と遊んでいると

いきなりその子供を殴ります。

(嫉妬というよりは目隠し姿の子供たちを見て、戦争の記憶が蘇ったように見えます)

 

 

ハーディーにはニコール以外にも

彼に優しく接してくれる友人が居て、

決して孤立しているわけではありません。

また、受け身ではありますが

ニコールからの ”愛の求め” に応じているシーンもあります。

つまり、「立派な大人の男」

なんですね。

 

こうしたことを考えると

ハーディーの取った行動が

常識に欠けていて、

周囲から疑いの目で見られても仕方がない~

ともなりますね。

 

 

ちなみに映像テクニックについては素晴らしく

(撮影/アンリ・ドカエ

この点については意見が完全一致するでしょう。

 

水槽のなかの魚

籠のなかの鳥

 

ハーディーとパトリシアの心情を見事に表していますね。

(その他、小物を上手く使ったシーン多数)

 

(奥の壁に掛けられているのはワヤン・クリ~影絵人形、ニコールの髪の毛にそってシルエットが映っている)

 

当時12歳のパトリシア・ゴッジは

まさに天才子役といっていいほどの芸達者ぶりです。

 

崇高なまでに美しい

魂の愛の物語なのか

あるいはそうではないのか

未見の方は是非、本編をどうぞ。

 

"Sunday and Cybèle"    Trailer

www.youtube.com