バンコクマインド

タイの過去現在未来と音楽映画書籍の旅

冬のニューヨークは心底寒い・・・ストリート感いっぱいの隠れた佳作 "BORN TO WIN"

 

イヴァン・パッセルがアメリカで撮った第一作(1971年)

それほど有名な作品ではありませんが

私は好きですね~

”真夜中のカウボーイ” とか ”タクシードライバー

あるいはブラックスプロイテーション系が好きな人なら

気に入ると思いますよ。

 

 

舞台は冬のニューヨーク、マンハッタン

刑務所から出所したばかりのジョージ・シーガル

再び犯罪に手を染めてしまうなりゆきに。

 

 

旧友のジェイ・フレッチャーを相棒にして

盗みや恐喝を続けるうちに

彼自身もジャンキーになってしまい

禁断症状に悩まされます。

 

 

焦燥の日々を過ごすジョージは

一人の若い女(カレン・ブラック)と知り合い

愛し合う仲に。

 

 

飾らない性格の彼女と過ごす時間だけが

心の慰めです。

 

 

しかしジェイが組織に殺され

カレンは警察のおとり捜査によって逮捕。

ジョージは抜き差しならない状況に追い詰められていくのでした・・・

 

全編が実際のロケーションで撮影されていて

ストリート感に溢れた仕上がり。

主演のジョージ・シーガルも好演です。

(寒さと薬が切れた時の身体が震えだす仕草など)

 

 

なお「ゴッドファーザー前」の

若きロバート・デ・ニーロ

刑事役で少しだけ出演しているのですが

あまりやる気の感じられない芝居振り。

(そもそも刑事に見えない)

 

 

本作の魅力はなんといっても

カレン・ブラック。

個性的な顔立ちで決して正統派の美人女優ではないのですが

芝居も上手く、キャラクターにぴったりのキャスティングです。

 

 

全体の完成度やスケール感では

今一歩というところもありますが

さすがチェコスロバキア出身の名匠が手掛けただけあって

見どころの多い佳作であります。

 

"BORN TO WIN" (1971)    Trailer

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LOVE AND FEAR IN AN ELEVATOR

 

エレベーターをモチーフにした映画って

無数にありそうですよね。

ある種の密室空間ですから

様々なシチュエーションに使えそう。

 

死刑台のエレベーター

 

"SUDDENLY,LAST SUMMER"

 

アパートの鍵貸します

 

アウトレイジ ビヨンド

 

「エレベーターの登場する映画」というテーマで

まるまる本が一冊書けそうな感じ。

クラシックな作品では出逢いの場所として

近年ではパニック~ホラー系が多数派かな。

 

 

小説でも色々ありますよね。

 

 

中島らも

”ラブ・イン・エレベーター” は

短編というよりショートショート(七頁)なんですが

エレベーターがどこまでも上昇していくというのが斬新。

普通、下降していく&途中で停まってしまう

という設定が多いですから。

 

 

有名作、貴志祐介の ”黒い家” では

エレベーターと階段の時間差を利用した構成が

サスペンスを盛り上げてますね。

小説後半の山場になっています。

 

 

ドリフターズ

エレベーターコント

多かったですね。

 

ドリフ大爆笑(1984年)

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このオチは今ではアウトでしょうね・・・

 

 

漫画ではなんといっても

日野日出志の ”地獄へのエレベーター”

(1976年発行の「まだらの卵」ひばり書房~に収録)

子供の頃に読んで

トラウマになりました。

今でも頭に焼き付いてますね。

 

キリがないので

エアロスミスのベタなナンバーで

締めにしましょう。

 

"LOVE IN AN ELEVATOR"   AEROSMITH

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参考図書

白いメリーさん中島らも著・講談社文庫

「黒い家」貴志祐介著・角川ホラー文庫

P・ニューマン、B・ウィリス、M・グリフィス・・・豪華スター競演の "NOBODY'S FOOL"

 

1994年公開のアメリカ映画

(監督/ロバート・ベントン

 

 

これは良質&ステキな作品。

 

キャストはかなりというか

非常に豪華なんですよ。

 

ポール・ニューマンブルース・ウィリスメラニー・グリフィスジェシカ・タンディ、ディラン・ウォルシュ、フィリップ・シーモア・ホフマン、プルイット・テイラー・ヴィンス、ジョセフ・ソマー、キャサリン・デント、マーゴ・マーティンデイル、アンジェリカ・ページ・・・

 

 

ニューヨーク郊外の小さな町に暮らす人々の

人間模様を描いてるんですね。

 

利害関係や好き嫌いが

微妙に入り組んでるわけです。

みんな一癖も二癖もある。

 

 

登場人物が多いので

一人一人にスポットが当たる時間は少ないんですね。

それぞれのバックグラウンドとか抱えている問題を

深く掘り下げるのは難しいわけです。

(上映時間は110分とそれほど長丁場ではない)

 

 

そこで、顔~表情で表現してるんですね。

プロ中のプロの役者さんが揃ってるんで

それが出来るわけです。

観てる人にちゃんと伝わる。

 

 

子供から年寄りまで

あらゆる年齢(の人の想い)をカバーしてるんですね。

 

 

勿論、

「眠ったような片田舎の日常スケッチ」

だけではストーリーが平坦になってしまうので

ちょっとしたアクシデントは入れ込んであります。

 

メラニー・グリフィスやアンジェリカ・ページが唐突にヌードになるシーンもあり)

 

ジェシカ・タンディの最終出演作でもありますね。

(映画公開時には既に死去)

 

トップ○○とかベスト△△に入るような

インパクトには欠けるかもしれませんが

映画ファンならニコニコの

ウェルメイド&ハートウォーミングな

匠の技を楽しめますよ。

 

"Nobody's Fool"     Trailer

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