同名の映画や、有名な歌謡曲もありますが
こちらは1929年製作のアメリカ映画。
(監督/ルーベン・マムーリアン)
サイレントからトーキーに移行して
間もない時期の作品ですが
見どころ多しの冴えた逸品です。
ストーリーは母(ヘレン・モーガン)と娘(ジョーン・ピアーズ)
の愛情を軸にしたバックステージもの。
登場人物の会話がスピーディーで、今観ても
違和感が少ないですね。
ジョーンと恋仲になる水兵役のヘンリー・ワズワースのシーンなど
とても100年近く前とは思えないほど、現代的なテンポです。
なにより素晴らしいのがカメラ撮影で
様々な技法が駆使されていて、特に屋外ロケの場面が見もの。
ジョーンとヘンリーは
ニューヨークの街のあちこちに出かけるのですが
高層のビルディングの立ち並ぶ風景は圧巻です。
この時代の日本人が見物に行ったならば
さぞかし「おったまげた」ことでしょう。
地下鉄構内での撮影も行われていて、
母を助けるためにあえて嘘を言い、ヘンリーと別れるジョーン。
この後、手前の男性が
”次の電車がすぐ来るさ”
と声をかけるのですが、むむアドリブかな?
妙に印象に残るカットですね。
悲嘆にくれるジョーンの手のひらには
別れ際にヘンリーがくれたガムが。
ここでのクローズアップは
母親の最期の決断に繋がっています。
母親の手にあるのは毒薬・・・
撮影機器などは現代とは比べるまでもないローテクだったわけで、
それでも既にここまでの表現技法にトライし、達成していたことに
唸るばかりですね。
監督&スタッフ、的確な演技のヘレン・モーガンとジョーン・ピアーズに
APPLAUSE~惜しみない喝采を!
Applause "Subway Goodbye" Scene