バンコクマインド

タイの過去現在未来と音楽映画書籍の旅

引き締まった肉体美、若きドロンは冴えていた ”さすらいの狼”(1964年)

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アラン・ドロンといえば

誰もが知るフランスの大スターですが

日本では取り分け(特にマダム層に)人気が高かった

時期があったように思います。

 

1970年代から80年代にかけてが特に。

スーツや車のCMキャラクターとして頻繁に登場&

パリに行ってドロンと一緒にディナーを楽しむツアーが企画されたり。

うっとり陶酔顔でインタビューしている日本の芸能人やリポーターを

見るにつけ、うひゃ~たまらんといった気持ちになりましたね、正直。

 

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しかしドロンは、メッセージ性の強い

硬派な出演作も多く、この ”さすらいの狼”

(原題の L'Insoumis は反抗する者、抵抗者という意味合いでしょうか)

はその代表的な作品ですね。

 

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監督は新鋭のアラン・カヴァリエ (ルイ・マルのもとで助監督)

脚本のジャン・コーは文学者でサルトルの秘書を務めていたことも。

 

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撮影を手掛けたクロード・ルノワールは、あの有名な画家のルノワールのお孫さん

といった錚々たる製作陣です。

 

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ドロン演じるは、アルジェリア紛争下

フランスの外人部隊に参加している

ルクセンブルク出身の青年。

 

高額な報酬に吊られ、政治地下組織に加わり

独立運動側の女性弁護士(レア・マッサリ)を

仲間とともに誘拐、監禁します。

 

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しかしマッサリに惹かれるものを感じたドロンは

仲間の一人を射殺して、マッサリを逃がしてやります。

その際の撃ちあいで、ドロンも腹部に負傷。

 

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ドロンは故郷の村を目指すのですが

身体の調子は悪化するばかり。

裏切者となった身に、復讐心に燃えるかつての仲間たちが迫ってきます。

 

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マッサリは身の危険も顧みず

自らが運転して、ドロンを故郷の村へ連れて行こうとします。

 

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なんとか生家に辿り着いたドロン

マッサリとはここで別れなくてはなりません。

(マッサリには夫があり、夫もドロンの逃走に協力しています)

 

気持ちの整理をつけようとするマッサリ

ドロンは家へ足を踏み入れるのですが

 

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彼の肉体は限界を迎えていました・・・

 

この作品は公開時にさまざまなトラブルに見舞われ、

のちのビデオ/DVD化も相当に遅れたようです。

共演者の顔ぶれもやや地味ですし、華がある映画ではないのですが

シャープな動きの若きドロンは

ファンでなくとも一見の価値大いにあり。

 

個人的には(大きな役柄ではないのですが)

ヴィヴィアン・アティアの演技が素敵でしたね。

 

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(唯一の?ユーモラスなシーン)