バンコクマインド

タイの過去現在未来と音楽映画書籍の旅

DEAD MAN IS A DEAD MAN~巻き込まれサスペンスの古典 ”絶壁の彼方に”

 

アメリカ人医師(ダグラス・フェアバンクス・JR)、

ヨーロッパのとある独裁国家から招聘状を受け取ります。

イギリス滞在中だったこともあり

気安く受けてしまったのが運の尽き。

 

 

公開手術を依頼され、

医学の発展に寄与できるならと

手術に臨むのですが

 

 

なんと、患者は独裁者の将軍でした。

 

長時間に及んだオペはひとまず成功したのですが

ダグラスのロンドン行きのフライト当日に

容態が急変し死亡。

 

「まずい。このままでは殺される」

ダグラスは病院を抜け出します。

 

 

街には秘密警察の眼が光っており

ダグラスは劇場に逃げ込みます。

ダンサーのグリニス・ジョーンズ

の部屋に匿ってもらうことに。

 

 

グリニスは母親がイギリス人だったので

英語が話せます。

二人は一緒に国外脱出を試みることに。

 

 

グリニスの父親は教師をしていたのですが

思想的に問題があるとされ、「再教育」の後

消息が不明のまま。

 

ダグラスは彼女との脱出に

改めて闘志を燃やします。

 

(自分の写真がデカデカと掲載された新聞を隠すグリニス)

 

 

断崖絶壁の高山を乗り越えて

国境を抜けようとしたのですが

グリニスが負傷、ダグラスと共に捕まってしまいます。

 

 

もはや絶体絶命

二人の運命やいかに・・・

(ラストには意外なオチがつけてあります)

 

ストーリー展開がこなれており

ヒッチコックが好きな人ならば

間違いなく楽しめるでしょう。

(監督のシドニー・ギリアットはヒッチコック作品の脚本も執筆)

 

独裁国家はまったく架空の設定で

役者が話すセリフはわざわざ映画のために作られた

「新言語」

なので、その部分は英語の字幕も付きません。

 

 

ダグラスを追い詰める秘密警察のボスに

ジャック・ホーキンス。

極端な日和見主義者なのですが、発するセリフが面白く

(主役のダグラス・フェアバンクス・JR がいま一つ影が薄いこともあって)

よいスパイスになっていますね。

 

ヒロインのグリニス・ジョーンズは

独特のアニメボイスの持ち主で

好き嫌いが分かれるかも。

 

後に、怪奇映画の古典

カリガリ博士” のリメイク版(1962年)で

その個性を存分に発揮しています。

 

( scene from "The Cabinet of Caligari")

 

そうそう、手塚治虫の ”ブラックジャック

にも似たプロットの作品がありますね。

(”こっぱみじん” ”誘拐”)

 

 

さておき、この映画

今となってはあまり取り上げられることもありませんが

(邦題がよくないのでは?別に登山映画とかではないですし)

サスペンスムービーとしては

観て損の無いウェルメイドな充実作であります。

 

scene from "State Secret"  (1950)

www.youtube.com