茶目っ気いっぱいの楽しい映画です。
成瀬巳喜男監督の1935年度作品。
千葉早智子は田舎で年老いた両親と三人暮らし。
東京に出ている幼馴染を頼って上京します。
「なんて素敵なところかしら」
とウキウキ気分。
ところが友人(赤木蘭子)は
手紙に書いてあった会社勤めではなく
カフェ~当時の飲み屋で働いているとのこと。
千葉の当ては外れてしまうのですが
カフェのマダム(清川玉枝)の好意もあって
取りあえず、店の2階に居候させてもらうことに。
酔客を嫌う千葉は
懸命に昼間の就職先を探すのですが
うまくいきません。
カフェの常連客の男(大川平八郎)と親しくなり
「あなたは夜の世界に居るような人ではない。僕も知り合いに色々とあたってみますよ」
と優しい言葉をかけられ、好意を持つようになります。
ある晩、ほかのお客そっちのけで
大川相手と楽しくビールを飲む千葉。
「あたと一緒に飲むお酒は本当に美味しいわ」
ゴクゴクゴク
マダム、もう一本持ってきて!
あー、何杯でも飲めちゃうわ・・・
とここまでは
特に盛り上がりもなく
どうということのない話なのですけれど
以降のシーンが、PLOT TWIST
~(観客が)予期せぬ展開になだれ込んでいきます。
成瀬監督は他の作品でも
お茶目なシーンを挟み込むことがありますが
この作品はかなり長い時間、
エンディングまで
そのまま突っ走るところがユニークですね。
公開当時のポスターですが
恋愛ドラマだと思いますよね、絵柄からすると。
実際はまったく違いますので
既にこの時点から
ツイストが始まっているわけですね。
後に成瀬監督夫人となる
千葉早智子は美しく
脇の女優陣も好キャスティングです。
日本映画史に残るとか
傑作、名作といった類の作品ではないですが
オモロイ映画ですよ。
本編は一時間ほどですから
機会がありましたら是非に。
楽しく ”ひっかかり” ましょう!