古ぼけた1枚の家族写真がタイトルバック。
なかなかに期待を抱かせるオープニングです。
ローマの薬品研究所に勤めるミムジー・ファーマー
大学教授の彼氏も居て
表面的には何ひとつ不自由の無い毎日なのですが
アパートの隣人や友人全てから
行動の逐一を監視されているような不安感を隠せません。
ミムジーは幼少時の環境にトラウマがあり
当時の忌まわしい記憶に苦しめられているのですが
少女時代の自分が頻繁に出現するようになり、
会話を交わすようになります。
ミムジーの精神は徐々に崩壊し、
常軌を逸した行動を取るように。
一方、彼女を監視していた街の住人たちは
廃墟の地下室に夜な夜な集まって・・・
そう、本作はロマン・ポランスキーの有名作
”反撥” (1965年)と ”ローズマリーの赤ちゃん” (1968年)
をそのまま足して、そのまま2で割ったような
構成なのですね。
そういう意味では目新しさはゼロ、
完成度もポランスキーに及びません。
(監督/フランチェスコ・バリーリ)
しかし見どころが無いわけではなく、
まず、主演のミムジー・ファーマーが綺麗ですね。
アメリカ生まれですが、出演作はフランスやイタリアがほとんど。
いま一つ作品に恵まれず
80年代には姿を消してしまいますけれど、
知的で落ち着いた雰囲気が印象的です。
また、ミムジーの住んでいるアパートメントが
世界遺産かよ!
と思うほどのアンティーク&ゴージャスな外観。
ミムジーに限らず、登場人物の室内も
眩暈がするほどの色彩感&やたらに多い飾り物の数々。
(どうやって掃除するんだ?引っ越しする時大変だろうな~)
このイタリアンな感覚は
ポランスキーにはない
オリジナルの個性ですね・・・
Il profumo della signora in nero Trailer