岩井俊二監督の ”PiCNiC” (1996年)
極めてスタイリッシュな68分。
塀の上、がメインなんですね。
三人は精神病棟に入院中で
塀伝いに「散歩」を楽しんでいます。
もう構図が最高です。
(それに比して、病院内の描写はどうも・・・)
やがてその散歩は、
「世界の終わりを見に行く」旅へと
変化していきます。
映画の終盤
浅野とCHARAのこのシーンを観ていて
私は小津監督の ”東京物語” (1953)の
一場面を想起しました。
浅野&CHARAとはそれこそ親子ほど齢が離れているわけですが
CHARAと東山がこの後に迎える運命が
似通っているんですね。
笠は東山に語りかけます。
「そろそろ帰ろうか。東京も見たし熱海も見たし。もう帰るか」
「そうですなあ。帰りますか」
東山は穏やかに言葉を返し
立ち上がろうとするのですが、眩暈をおこしてしまいます。
(塀が高いですね。そもそも歩くための塀ではないでしょう)
浅野とCHARAが歩いていた塀は
それよりも低く幅も広いのですが
二人はその後、灯台に登り
”この世”を見下ろします。
そこに世界の終わりはあったのでしょうか?
大作、傑作といった作品ではないですけれど
お気に入りのシーンが幾つも見つかるでしょう。
機会があれば本編をどうぞ・・・
scene from "PiCNiC"