戦前から多くの作品を製作している
千葉泰樹監督の1962年作。
傑作!というわけではありませんが
なかなか見どころのある佳作ですね。
主役は加山雄三&星由里子の若大将コンビなのですが
それに加えて
と、計五組の男女のやり取りが描かれています。
山村の以前の妻が淡島だったり
(草笛の略奪婚)
加山と池内のあいだに肉体関係があったりと
結構グチャグチャな繋がりなのですが、
基本的に修羅場になることもなく
各ペアの愛情と理解が深まっていくという
ハッピーエンドです。
淡島、草笛、乙羽、池内の和服姿が
実に美しい!
新藤兼人監督の出演作では限界演技爆発の乙羽も、
気の良いバーのマダムを楽し気に演じています。
出演場面は少しですが
ちょっと興醒めなのがセリフ。
無茶苦茶、”かたい”んですね。
哲学論争をしているような難しい単語続出。
愛し合っている間柄&いままさに抱擁している最中にも
「基本的人権」とか「人間の進歩」などという言葉が
飛び交うという。
(登場人物が全員、非常に真面目な性格設定になっています)
(原作は石坂洋二郎の同名小説。これはサービスカットですね)
なので、現代の感覚ですと
(というか、おそらく封切り当時であっても)
その仰々しさにちょっと辟易してしまうのですが
映像はひたすら美しいので
そちらを堪能するのが得策かと。
また、面白いのは
隠し事を一切しないんですね。
この5組(10人)は。
もうペラペラ、あけすけに過去の秘密を話してしまうんです。
それも各自のパートナーだけにではなく
皆で共有してしまうんです。
ちょっとこれは伏せておこうとか
男だけで、女だけでという区別も無く
自分の過ちや今の正直な気持ちの告白大合戦。
で、その告白が終わって
相手が理解してくれると
嬉しくなって、女性間でキスしたり。
うーむ、
昭和の良き映画というより
昭和の隠れたカルトムービー
だったりして。