バンコクマインド

タイの過去現在未来と音楽映画書籍の旅

五組のカップルの心模様を描く「良き昭和の映画」、”河のほとりで”

 

戦前から多くの作品を製作している

千葉泰樹監督の1962年作。

 

傑作!というわけではありませんが

なかなか見どころのある佳作ですね。

 

 

主役は加山雄三&星由里子の若大将コンビなのですが

それに加えて

 

 

山村聰草笛光子

加東大介淡島千景

東野英治郎乙羽信子

小林桂樹池内淳子

 

と、計五組の男女のやり取りが描かれています。

 

 

山村の以前の妻が淡島だったり

(草笛の略奪婚)

加山と池内のあいだに肉体関係があったりと

結構グチャグチャな繋がりなのですが、

基本的に修羅場になることもなく

各ペアの愛情と理解が深まっていくという

ハッピーエンドです。

 

 

淡島、草笛、乙羽、池内の和服姿が

実に美しい!

新藤兼人監督の出演作では限界演技爆発の乙羽も、

気の良いバーのマダムを楽し気に演じています。

 

 

出演場面は少しですが

ウルトラシリーズ以前の桜井浩子も登場しますよ。

 

ちょっと興醒めなのがセリフ。

無茶苦茶、”かたい”んですね。

哲学論争をしているような難しい単語続出。

愛し合っている間柄&いままさに抱擁している最中にも

基本的人権」とか「人間の進歩」などという言葉が

飛び交うという。

(登場人物が全員、非常に真面目な性格設定になっています)

 

(原作は石坂洋二郎の同名小説。これはサービスカットですね)

 

なので、現代の感覚ですと

(というか、おそらく封切り当時であっても)

その仰々しさにちょっと辟易してしまうのですが

映像はひたすら美しいので

そちらを堪能するのが得策かと。

 

 

また、面白いのは

隠し事を一切しないんですね。

この5組(10人)は。

もうペラペラ、あけすけに過去の秘密を話してしまうんです。

それも各自のパートナーだけにではなく

皆で共有してしまうんです。

ちょっとこれは伏せておこうとか

男だけで、女だけでという区別も無く

自分の過ちや今の正直な気持ちの告白大合戦。

 

 

で、その告白が終わって

相手が理解してくれると

嬉しくなって、女性間でキスしたり。

 

うーむ、

昭和の良き映画というより

昭和の隠れたカルトムービー

だったりして。