バンコクマインド

タイの過去現在未来と音楽映画書籍の旅

母の愛はいかなる権力や宗教よりも強し~二人のMOTHER

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1926年のソ連映画

  ”母”

 

前年のアイゼンシュタインの ”戦艦ポチョムキン”と並んで

ソ連映画創成期の代表的作品と言われています。

(監督/フセヴォロド・プドキン)

 

原作はゴーリキー

冒頭にレーニンの言葉が映し出されたりするので

ちょっと身構えてしまいますが

ストーリーはシンプル。

難解な作品ではありません。

 

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帝政ロシア期、地方都市に暮らすヴェラ・バラノフスカヤ

工場のスト騒ぎで

夫を亡くしてしまいます。

 

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母想いの自慢の息子も逮捕され

監獄送りに。

 

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形式だけの茶番劇裁判を傍聴して

涙する母親

「私たちは家族が殺されても投獄されても、何一つ抗うことは出来ない身分なのだ」

 

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母親の心に変化が起きます。

傍観者で居るだけでは何も変わりはしない、私も自分の出来ることをしなくては・・・

 

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母親の瞳に強い光が宿っているのを見て、安心する息子。

 

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ヴェラは監獄襲撃を試みるグループに加わり

息子は脱出に成功。

抱き合って再会を喜びます。

周囲には祝福する仲間の輪が。

 

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しかしその瞬間、息子の背後には

銃口が迫っていたのでした・・・

 

前半部分は暗くて沈んだムードなのですが

後半~クライマックスにかけては

モンタージュを多用した画面構成が

ドキュメンタリーを見ているような緊張感に満ちていて

見応えがあります。

 

Mother  ending scene

www.youtube.com

 

さて、ヴェラが「闘う母親」なら

こちらは「見護る母親」です。

 

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三浦綾子の ”母”(1992年発行)

 

かの小林多喜二の母親セキの生涯を描いた作品です。

(セキの独白といった形式を取っていますが、作者が実際にインタビューしたのではなく、様々な資料から構成されたもの)

 

ここでのセキは、多喜二と共に行動するというわけではありません。

ただひたすらに息子を信じる優しいお母さんです。

セキ自身も極貧の生活を経験しているわけですが

あくまで前向きに、子供たち(多喜二含めて三男三女)を押さえつけることなく

育て上げていきます。

 

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(これらの映画や著作が伝えたい主題とは違うのかもしれませんが)

結局のところ、

どんなイデオロギーや宗教よりも

母の愛は強いのですよね。

 

もっともらしいお題目とか

難しい教義云々をいくら並べても

母の優しさに勝るものはないと。

この世の中には。

 

私はそう受け取りました。

 

Sometimes I Feel Like a Motherless Child     Van Morrison

www.youtube.com

 

Sometimes I feel like a motherless child
Sometimes I feel like a motherless child
Sometimes I feel like a motherless child
Long way from my home

Sometimes I wish I could fly
Like a bird up in the sky
Oh, sometimes I wish I could fly
Fly like a bird up in the sky
Sometimes I wish I could fly
Like a bird up in the sky
Closer to my home

Motherless children have a hard time
Motherless children have-a such a hard time
Motherless children have such a really hard time
A long way from home

Sometimes I feel like freedom is near
Sometimes I feel like freedom is here
Sometimes I feel like freedom is so near
But we're so far from home

 

(traditional)