バンコクマインド

タイの過去現在未来と音楽映画書籍の旅

切ない愛の物語? 何言うてまんねん、ドタバタ喜劇ちゃいますか? ”終着駅”

 

かなり有名な作品で評価も高いですね。

名匠ヴィットリオ・デ・シーカ監督の1953年作。

主演はジェニファー・ジョーンズモンゴメリー・クリフト

 

二人がローマの中央鉄道駅で最後のひと時を過ごすんですね。

(イタリアに住んでいる妹を訪れたアメリカ人女性ジェニファーが、青年モンゴメリーと恋に堕ちたわけですね。ジェニファーには夫と子供が居るので帰国しなければいけない)

 

で、確かに二人が熱く抱擁を交わす場面もあるんですが

それは監督の偽装じゃないかな。

当初は確かに一大メロドラマ路線でいこうと

思ったのかもですが

明らかに路線変更してますよ。

(製作者のデヴィッド・O・セルズニックジェニファー・ジョーンズの旦那でもある~と、ヴィットリオ監督のあいだで深刻な対立があったと伝えられています)

 

 

この映画の観どころは

ロマンティックなシーンじゃないんですよ。

 

主役二人に対して

あらゆる邪魔が入るんですね。

 

 

もうなにをするにしても

ジロジロ見られたり

やたらに話しかけられたりして

最後の逢瀬に浸ることが出来ないんですね。

 

 

駅構内のレストランでは

閉店時間ですと追い立てられ

 

 

やっと空席を見つけた喫茶コーナーでは

二人の顔が接近するたびに

ウェイターがやってくる

 

駅は人でごった返しているんで

それが不自然でないんですね。

(何度も割り込んでくる人も居ます)

 

 

ジェニファーはイタリア語が出来ないので

電話をしてもイライラ

 

 

挙句の果てにベンチの隣の女が

具合が悪くなり、救急室まで連れていってあげたりとか。

 

電車の発車時間が迫っている中で

もうヘロヘロ状態になっていくわけです。

(映画の上映時間とリンクさせていて、時計の針が進むカットが頻繁に映ります)

 

 

結局

ジェニファーとモンゴメリー

ゆっくり語り合うことも出来ずに

ジェニファーは一人電車に乗り込み

モンゴメリーはホームに淋しく取り残されたのでした。

 

これはコメディですよ。

(思うように撮れなかったことにムッとした監督が、皮肉を込めて仕上げた)

一般的な解釈とは真逆かもしれませんが

私はそう、思いますね。

 

そう観れば

(邪魔の仕方があまりに偏執狂的で)

おもろい映画です。

 

恋愛映画として捉えると

60~70点ぐらいでしょうか。

まあまあのラインじゃないかな。

 

Stazione Termini (1953)    Trailer

www.youtube.com