バンコクマインド

タイの過去現在未来と音楽映画書籍の旅

一時間でこれだけ楽しい~フランク・キャプラ&ベッシー・ラヴの "THE MATINEE IDOL"

 

名匠フランク・キャプラ

1928年作品。

サイレント最終期の小品ですが

小粋で楽しい映画です。

 

 

ニューヨーク郊外の田舎町の劇団、

座長の娘のベッシー・ラヴは

態度の悪い団員を首にしたため

急遽オーデイションを。

 

たまたま旅行に来ていたブロードウェイの

スター(ジョニー・ウォーカー)を

それとは知らずに採用します。

 

(あなた下手ねえ、まあ素人だから仕方がないけど・・・ウォーカーに"演技指導”するラヴの仕草が笑えます)

 

ウォーカーの勧めもあって

ブロードウェイの大劇場に出演できる運びに。

ラヴや座長、一座のメンバーも大喜び。

 

しかし、いざ幕が開くと

 

 

ラヴたちが熱演すればするほど

 

 

会場に詰め掛けたニューヨーカーは

ひたすら爆笑するばかり。

 

彼等の眼には、ラヴの一座の芝居

(座長の父が書いたオリジナルの脚本)

は、あまりに古臭く

それをわざと強調した喜劇に映ったのでした。

 

 

幕間、考え込む座員たち。

”何故お客は笑っているのだろう?もっと熱を込めて演技をしなくちゃ”

 

 

しかし客席の笑いはますます大きくなるばかり。

遂にラヴは芝居を止めて

 

 

あなた達ニューヨークの人間は

お芝居がなんたるかを分からないのね。

可哀そうに・・・

 

と啖呵を切ってしまいます。

 

 

観客はそれも芝居のうちと思って

場内は更なる大爆笑の渦。

最高だ!今までに観たうちで最高に笑えるコメディだ!

 

ラヴは怒りに震えて

劇場を飛び出します。

ウォーカーが急いで後を追うのですが・・・

 

上映時間は1時間足らずですが

ベッシー・ラヴのコメディエンヌとしての技量が

充分に発揮された佳作ですね。

 

日本語のタイトルは ”陽気な踊り子” となっていますが

この作品ではそういった場面はありません。

(演目の内容が古臭過ぎて、それが都会人に受けるという設定なので)

 

ラブは歌って踊れる人なので

そちらの魅力を味わうには

本作の翌年に公開された

”ブロードウェイ・メロディー”

をどうぞ。

 

 Bessie Love & Anita Page   "Broadway Melody" (1929)

www.youtube.com