ジュールス・ダッシン監督の1948年作品
”裸の町~THE NAKED CITY”
犯罪映画のジャンルでは鉄板&定番の名作であります。
空撮のオープニングからして期待感が高まりますね。
セミ・ドキュメントとかオールロケと称されることが多いみたいですが、
室内の場面はセットも使われてますし
役者さんはあくまで普通の芝居をしていますので
そういう意味ではごく真っ当なフィルム・ノワールの範疇かと。
ストーリーの展開が早いんですね。
で、刑事たちはチームワークよろしく
皆で協力して犯人を追い詰めていきます。
特徴的なアングルですが
監督のお好みなんでしょうね。
刑事たちの交わす会話は結構ユーモラスなんですが
若手刑事を演じるのがドン・テイラー。
この人は後年、役者から監督業にシフトして
撮ったりしてます。
(本作での演技はちょっと・・・です)
犠牲者の両親の悲しみに寄り添う
ベテラン警部バリー・フィッツジェラルド
こういうウェットな場面設定は
日本の刑事ドラマにも
絶大な影響を与えたでしょうね。
見どころはなんといっても
ラストのチェイスシーン。
ここでの屋外ロケは確かに映画史に残る
ダイナミックなカットの連続です。
地上だけでなく縦方向
ウィリアムスバーグ橋の塔頂に追い詰められた
犯人が見下ろすニューヨークの街並み
~そこでは人々がのんびりとテニスに興じている
映画冒頭の空撮ショットにリンクした
見事な映像美の世界です。
おしむらくはナレーションが過多かなと。
ずっと被さってるんですね。
しかも刑事たちに呼びかけるような口調もあったりして。
(おい、犯人はそこには居ないぞとか)
このあたりを称してドキュメント調ということなのかもですが
オープニングとラストだけに留めたほうが
より緊迫感が増したのではないでしょうか・・・
THE NAKED CITY Trailer