バンコクマインド

タイの過去現在未来と音楽映画書籍の旅

リリアン・ギッシュの目力が全て~純情ラブロマンス映画 ”スージーの真心”

 

名コンビ、D・W・グリフィスリリアン・ギッシュ

1919年作。

映画史上に燦然と輝く ”散り行く花” と同時期に

撮られていますが、

こちらは打って変わってほんわかのんびりムード、

ハートウォーミングな仕上がりです。

 

 

ギッシュが思いを寄せているボーイフレンド(ロバート・ハロン

大学に進学したいのですが学費が足りません。

ギッシュは内緒で大事に育てていた牛を売って

ハロンを都会の大学に送り出します。

 

 

大人びて帰郷したハロン

ギッシュそっちのけで別の女(クラリン・シーモア)の

積極的なアプローチにもろくも陥落。

 

 

ショックをうけるギッシュですが

 

 

そうよね、私みたいな田舎娘の出る幕じゃないわ

と身を引きます。

 

 

ギッシュは、ハロンシーモアの結婚式にも律儀に出席。

哀しみを隠して二人を祝福します。

 

 

シーモアは家事にもまったく興味が無く

ハロンに隠れて夜遊びのしまくりです。

深夜にギッシュの家へやってきて

「ねえねえ、あんたのところに泊まってたことにしてよ、いいでしょ」

 

ギッシュのベッドで眠りこけるシーモア

(映画はこの後 ”事件” が起こり、最終的にはギッシュとハロンが結ばれます)

 

ストーリー展開になんの工夫もなく

低予算であることも見え見え。

その意味では凡作なのですが

 

 

それを救っているのがギッシュの「眼の演技」

表情は動かさず、目だけで感情を伝える~コミュニケーションが取れる

芸達者ぶりを遺憾なく発揮しています。

 

(アイスクリーム屋の前で立ち止まり、ハロンに何気にリクエスト)

 

(これは面白いショットです。ハロンがNGを出したのではないでしょうか。このまま芝居続けていいの?と確認しているのでしょうね、カメラ目線になっていますし)

 

 

共演者のなかでは

ハロンの悪妻を演じるクラリン・シーモアが健闘。

超わがまま自己中(ちよっと料理に文句を言われただけでキレまくる)

のパフォーマンスが笑いを誘います。

 

ちなみに

ロバート・ハロンは映画が公開された翌年に

僅か27歳で不審死。

クラリン・シーモアも同じく1920年に

21歳!で病死しています。

 

ギッシュが亡くなったのは99歳でしたから

きっと二人の分まで生きたのでしょうね。

 

Lillian Gish & Clarine E. Seymour from "TRUE HEART SUSIE"

www.youtube.com