1919年作。
映画史上に燦然と輝く ”散り行く花” と同時期に
撮られていますが、
こちらは打って変わってほんわかのんびりムード、
ハートウォーミングな仕上がりです。
ギッシュが思いを寄せているボーイフレンド(ロバート・ハロン)
大学に進学したいのですが学費が足りません。
ギッシュは内緒で大事に育てていた牛を売って
ハロンを都会の大学に送り出します。
大人びて帰郷したハロン
ギッシュそっちのけで別の女(クラリン・シーモア)の
積極的なアプローチにもろくも陥落。
ショックをうけるギッシュですが
そうよね、私みたいな田舎娘の出る幕じゃないわ
と身を引きます。
哀しみを隠して二人を祝福します。
シーモアは家事にもまったく興味が無く
ハロンに隠れて夜遊びのしまくりです。
深夜にギッシュの家へやってきて
「ねえねえ、あんたのところに泊まってたことにしてよ、いいでしょ」
ギッシュのベッドで眠りこけるシーモア。
(映画はこの後 ”事件” が起こり、最終的にはギッシュとハロンが結ばれます)
ストーリー展開になんの工夫もなく
低予算であることも見え見え。
その意味では凡作なのですが
それを救っているのがギッシュの「眼の演技」
表情は動かさず、目だけで感情を伝える~コミュニケーションが取れる
芸達者ぶりを遺憾なく発揮しています。
(アイスクリーム屋の前で立ち止まり、ハロンに何気にリクエスト)
(これは面白いショットです。ハロンがNGを出したのではないでしょうか。このまま芝居続けていいの?と確認しているのでしょうね、カメラ目線になっていますし)
共演者のなかでは
超わがまま自己中(ちよっと料理に文句を言われただけでキレまくる)
のパフォーマンスが笑いを誘います。
ちなみに
ロバート・ハロンは映画が公開された翌年に
僅か27歳で不審死。
クラリン・シーモアも同じく1920年に
21歳!で病死しています。
ギッシュが亡くなったのは99歳でしたから
きっと二人の分まで生きたのでしょうね。
Lillian Gish & Clarine E. Seymour from "TRUE HEART SUSIE"